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『雨をもたらすものとして』


今日の青空は、すくなくとも
ぼくらのための、空ではなかった
痛かった
無邪気な慈しみを湛えて
ところ構わず降り注ぐ光が

貫かれながら、ぼくは
光に跳ねるきみの涙を見ていた
何ができるわけでもなく
立ち尽くしていた
光に
貫かれながら、立ち尽くしていた

きみの涙を
ただ、
そこにあるものとして
きみの涙を、
ただ
雨として
優しく流していくような
ただ
霧のような雨として
柔らかく包みこむような
手が
届きそうなほど
低く
澱み、街を覆う雲として
かなしい鈍色で
空を埋め尽くす雲として
涙の跡を撫でる
雨をもたらすものとして

そこにいてほしかった
ただ
見渡すかぎり、
広がっていてほしかった



『雨をもたらすものとして』



涙の
跡を、撫でる
雨を
もたらすものとして、ただ
そこに、いてほしかった










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