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こうしてぼくらふたりのことが。

キッチンまわりの掃除をしながら、ふたりで過ごした休日の時間を思い出している。
右手にキッチンペーパー、左手にアルコールスプレー。
キッチンの隅から隅まで汚れを拭きとる。
カッティングボード、すこし使いこんできた感が出てきたね。
まだまだ活躍してもらわないとだから、これもしっかり漂白しなきゃ。


この連休は、ほんとうにお疲れさま。
ぼくらにとっての大切な行事、無事に終わったね。
どうなるか不安ではあったけれど、終わってみれば、ぼくがご両親にご挨拶に伺った北海道のときと一緒。
たのしくてうれしくて、まだまだこんな日が続けばいいのにって思った。



日曜日。
ぼくらの親たちの、初めての顔合わせ。
東京の西の端っこ、ぼくの地元。
十分時間の余裕をもってホテルのロビーに到着したぼくらだったけれど、すでにおとうさんおかあさんも、母も到着していて、ほとんどとなり同士でぼくらを待っていた。
お互いなんとなく気づいていたみたいだったね。
ロビーでのあいさつもそこそこに、エレベーターでレストランへ。
レストランの個室に入るまでの空気で、今日はきっとうまくいくなって思った。
ごはんがはじまる前に、おかあさんと母が初対面とは思えないほど打ち解けているように見えたから。
うちの母もなかなか社交的な方だと思ってはいたけれど、さすがおかあさんだね。
わかってはいたけれど、社交的のレベルがちがう。
ほんと脱帽。でも助かったよね。うれしかった。

そんなおかあさんのコミュ力もあって、場の空気は終始和やかで、ほんとうはそれはぼくらの仕事だったのだろうけれど、もう何もしなくてもよかった。
一緒に話をしていれば、それでよかった。
親同士の挨拶って、ぼくははじめてのことだったけれど、みんながみんな、こんなに和やかに進むわけじゃないと思うんだ。
はじめは静かだったおとうさんも、たくさんお話してくれてよかった。
北海道で一度聞いたけれど、一見コワモテなあのおとうさんがYouTubeを見て目玉焼きの練習をしているなんて、ギャップ激しすぎだよね。
初対面の席で話すことかってキミが突っこんでたの、ほんと笑えたよ。

食事が終わって、そのままの空気でラウンジに移動して、コーヒーを飲みながらまた話をして。
脚が悪い母のことを迎えにきていたぼくの妹一家も、ご両親にご挨拶をさせてもらえて。
まさかみんなで写真が撮れるなんて思ってもいなかったから、うれしかった。
甥っこも姪っこもすこし緊張していたけれど、素敵な写真になったね。
宝物が、またひとつ増えたよ。

夕方から、そのまま都心に移動。
ご両親に、ぼくらの部屋を見てもらった。
こんな家で生活していますって、ちゃんと見てもらうことができた。
夕食にキミが予約してくれた焼肉屋さんも、最高だった。
予報どおり雨が降ってしまったけれど、ご両親をホテルへ送りとどけ(移動が多くてきっとお疲れだったでしょう)、家に帰り眠りに落ちるまで、ほんとうに笑いが絶えることはなかった。
こんなに素敵な一日を、ぼくらはふたたび過ごすことができたんだ。



ぼくらの大切な人たちが、ぼくらのまわりでこうしてつながっていく。
ぼくらの大切な人を大切だと思ってくれる人が、こうして増えていく。

こうしてぼくらふたりのことが、ふたりだけのことではなくなっていく。

そんなあたたかい気持ちで、ぼくらは階段を上っていける。
しあわせだね。

また北海道にいきたい。
ラベンダーのきれいな季節に、みんなで一緒に笑いたい。
北海道の、どこまでも広い空を仰いで、おいしい空気を吸って。
そのあとは、おとうさんのつくったまんまるの目玉焼きを、食べさせてもらおうね。
母も一緒に行けたらいいな。


まっ白に漂白されたカッティングボードを拭きあげながらぼくは、ピカピカになったキッチンでごはんをつくるキミの姿を思い浮かべた。
あの日はたのしかったねって、ふたりで笑いながらごはんの準備をして、お酒を飲んで。
また明日から頑張ろうねって、毎週毎週繰りかえそう。
そんなふうに、キミと過ごすぼくらの家が、これからも穏やかであたたかい、素敵な空間でありますように。


いつもありがとう。
これからも、よろしくね。






いただいたサポートは、ほかの方へのサポートやここで表現できることのためにつかわせていただきます。感謝と敬意の善き循環が、ぼくの目標です。