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はじめて2泊3日で山歩きしたら身体が悲鳴を上げた話(常念山脈編) Day 3 常念小屋→常念岳→蝶ヶ岳→長塀尾根→上高地

3日目。
朝起きてみると、心配していた脚の痛みはわりと引いていたので、先に進むことに。
常念岳から南に(蝶ヶ岳方面に)下る道が、私が苦手な岩ゴロゴロ地形で、コースタイムよりもかなり時間がかかってしまいました。
今振り返ると、ここで時間がかかってしまったことで、私の中で歯車が狂い、なぜか焦り始めてしまいました。
時間には余裕を持たせていたので、多少歩くのが遅くなっても問題は無いし、下界に帰ってきてから考えると全く焦るようなことではないのですが、山の上というのはどこか判断力などを狂わせるんですかね。
空気が薄いのも微妙に効いている気がします。
こういうことも含めて何が起こるかわからないので、時間には余裕を持った方が良いんですね。

このあたりで、ずっと楽しく聞いていたオーディオブックも切りました。
耳元で誰かがゴチャゴチャ喋っているのが急に不愉快に感じたので。
これも、疲労・焦りのせいだった気がします。

3日目はほとんど写真も撮っていませんでした。景色もあまり目に入っていなかったような気がします。天気は悪くなかったのですが。

それでも、蝶槍への登り以降は難しい地形もなく、ペースを取り戻し、蝶ヶ岳までは総じて言えば快調に歩けました。
ここまで約5時間の行動。

蝶ヶ岳ヒュッテで泊まるという選択肢もあるにはあったのですが、もう風呂に入りたかったので下りることに(長期間山に入りたかったら、不潔さへの耐性も揚げる必要ありますね)。

蝶ヶ岳ヒュッテでうどんを食べた後、もう1杯食べたいな・・・と思ったのですが、それを注文し、待って、時間が無くなるのがイヤだったので、あとは行動食に頼ることにして下り始めてしまいました。

もしかしたらこのあたりの判断(そもそも先に進む/栄養補給が不完全)があまり良くなかったかもしれないです。
蝶ヶ岳から徳沢に下る長塀尾根に入ったあたりから寒気がしてきて、大して水分もとっていないのに異常な尿意を感じ、3時間の下りの間に5回くらい立ちションする(途中にトイレはないので)というわけわからない体調になり大変でした。
それまでは下っては上り返すの繰り返しで、脚にさほど問題はなかったのですが、連続下りが始まってから脚もかなり痛くなりました。
3日連続行動は初めてなので未知の領域でしたが、最後の最後にここまで疲労・身体症状・痛みが出るとは。
だいたい、これまで日帰りでも1日10時間行動なんてしたことなかったし、1泊2日の時も2日合わせて10時間超えたことはなかったのに、3日目が10時間行動というのも若干無理があったかもしれないです。

最後の下り、疲労以外にも印象的だったことがいくつかあります。

長塀尾根は結構広い尾根です。切れ落ちている場所がないので安心して歩ける反面、目印が無ければ普通に森に迷い込んでしまいそうな場所がたくさんありました。ちゃんと、通行禁止箇所にはロープが張ってありましたが、仮にロープが一カ所でも切れていたりしたら迷う可能性高そうです。実際過去にこの尾根で、道迷い遭難があったらしいですからね。

次に長塀尾根で印象的だったのは、外国人がたくさん歩いていたこと
西洋系・東洋系、どっちもいました。
燕山荘にも常念小屋にもいましたが、その比ではなかったです。というか、長塀尾根ですれ違ったのはほとんど外国人でした。
私が下り始めたのは12時くらいだったので、多分、日本人はもっと早い時間に登り切っていたのだと思います。蝶ヶ岳には日本人もたくさんいたので。
山での時間の使い方の感覚が違うんですかね。
しかも、まだ山頂まで3時間はあろうかという地点で、「もうすぐ頂上ですか?」と聞いてくるグループがいくつかあったので若干心配に。どんな情報持ってこの道に突入してきたのでしょうか。
2日目のビールの話と同様、山の技術は人それぞれ、スケジュールも人それぞれで超OKなのですが、なんか外国人は心配になってしまいます。

さらに長塀尾根後半、まだ徳沢まで標高差にして300メートル以上はあろうかと言うところから、川のせせらぎが聞こえてきました。
確かに梓川が下の方にあるはずなので「もしかしてもうすぐか?」と思ったのですが、そこから行けども行けどもたどり着きません。
大体そんな遠くまで川の音って聞こえてきますかね。
本当に聞こえていたのか、もしかしたら早くこの道終わってほしいという願いが幻聴的なものを生んだのか、よくわかりません。

ということで、遭難の危険を(少しだけ)感じつつ、外国人に隠れて立ちションをしつつ、どこから聞こえているのかわからない川のせせらぎを聞きつつ、下山してきました。
長塀尾根は展望全然ありませんが、今までで一番心に残る下山でした。

徳沢から上高地。前回来たときは楽しく散歩していたのに、最後の方は「もう早く終われ」な気分でした。山に来ると、多かれ少なかれこの気持ちにはなっている気はしますが。

上高地から新島々に下るバスは1時間以上あるので、謎の寒気・頻尿がバスの中でも続いたらマズいと思っていたのですが、小梨平の銭湯に入ったらピタっと止まりました。
やれやれ。

帰り、松本でそばを食べようと注文したのですが、全く喉を通らず。
山歩きで内臓をやられるという話を聞いたことはありますが、自分がこうなったのは初めてです。
運動でここまで身体を酷使したとのは、学生の頃の水泳の夏合宿以来。自分が3日間山で行動したらかなり身体が悲鳴を上げるってのがわかったのは非常に良い経験でした。ある程度限界に近づかないと、自分の限界なんてわからないのですから。もちろん安全は確保した上でですけどね。
来年、立山から北アルプス西側の奥深いところに行きたいと考えているのですが、これをやるには4日以上必要なので、もっと身体を鍛えないと行けないとわかったのが、一番の収穫でした。

下界に戻ってからも、数日間は食欲不振・下痢で、内臓は動いておらず、脚もしばらくは痛く、頭もぼーっとしました。
山岳レースに出場した選手は、時に4ヶ月くらい体調が戻らないと聞いたこともあります。山での体の使い方って、ちょっとまともじゃないですよね。

結論
・ 一晩眠ると脚の状態が変わっていることは多い。
・ 3日間行動(5h, 6h, 10h)で体力の限界を超える。これが今の体力。 
・ 絶景も良い思い出だけど、身体が悲鳴を上げたのも良い思い出。

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