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武能岳に登ろう【西尾根】

氷雪を渡る。

2022年3月30日(水)

新潟県南魚沼郡湯沢町/群馬県利根郡みなかみ町

谷川連峰を形成する幾多の山々の内の一つである武能岳ぶのうだけ、山体の東面を流れ落ちる武能沢の源頭部である事が山名の由来となっています。
また"武能ぶのう"とはブナの林という意味の"椈生ぶなお"から転じたものと言われています。

武能岳は群馬県みなかみ町の土合と新潟県湯沢町の土樽間の縦走や馬蹄形縦走の途中に通過する山で、少し地味なイメージがありますが、山頂から広がる眺望は素晴らしく、土樽を起点に山頂を往復するだけでも充分に満足感を味わう事が出来るでしょう。

冬季ともなれば周辺の山域は深い雪に閉ざされ、
武能岳の頂きは遥か遠きものとなります。
積雪期に群馬県側から武能岳に登頂出来るのは雪山山行のエキスパートのみで、一般のハイカーが山頂を目指す事は無謀な挑戦と言えるでしょう。
新潟県側からも容易に登頂は出来ず、雪崩れや滑落に注意しながら非常に厳しいルートを辿る事になります。

今回は湯沢町土樽から積雪期限定の武能岳の西尾根を辿り、登頂を目指しました。

🌤晴れ 🌀平穏 🕘9h1m
🐾27,711歩 13.6km ⇅1,330m
♨️越後湯沢温泉 神泉しんせんの湯 600円

6:30 安全登山の広場⇒蓬新道⇒西尾根取り付き⇒
武能岳⇒蓬峠⇒蓬新道⇒安全登山の広場 15:31

今回のスタート地点は土樽駅の予定でしたが、
県道の除雪はどうなっているのかな?と思い、
行ける所まで行ってみます。
「安全登山の広場」の手前に除雪されたスペースが有り、先へ続く県道には"通行止め"の看板とパイロンが置かれています。
ここならば車を停めても邪魔にならないだろうと、スタート地点を変更しました。

6:30
「安全登山の広場」手前の駐車スペース

朝から青空が広がり、いい天気です。

Let’s do it!

「浅間平橋」から未除雪の林道に入り、
蓬新道に向かいます。
トレースがいくつか有りました。
歩く人は多い様ですね。
雪はよく締まっていて歩きやすいです。
土樽PAの上に万太郎山が良い眺めでした。
武能岳の西尾根の上に朝陽が昇ってきましたよ。
よーし!やってやるぜー!!
クランポン装着!
⚠️転落に注意しましょう。
林道はすっかり雪に覆われていました。
トレースを追いかけて先へ歩いて行きます。
おっ!あそこが西尾根の取り付きだな!?
雪解けで林道は川の様でした。
蓬沢の水量はかなり多かったですが、
渡渉せずに済んだので良かったです。

7:40
武能岳西尾根取り付き点

ありゃ〜!雪崩れてるねぇ。
尾根の右手から登れそうな斜面に取り付きました。
上の方は雪が無く、薮が出ています。
これくらいの薮なら問題無し!
ふぃ〜!急斜面を登り上げます。
ひと汗かいちゃいましたね。
北側の急斜面は雪が剥がれて、今にも落ちそうでした。
一部薮が出ていましたが、少しずつ雪尾根に変わります。
北方には足拍子岳がいい眺めですね。
高度が上がり、奥にコマノカミノの頭が見えてきました。
急登が続きます。
続きます。
コマノカミノの頭の稜線をぐるりと廻れそうだなぁ。
よし!来シーズンに挑戦しようと決めました✌🏼
そして急登はまだまだ続きます。
広いブナ林の尾根に目印を見つけました。
手を伸ばしてもまったく届かないです。
この山域の積雪の多さが想像出来ますね。

9:08
P1197

一旦傾斜が緩んで休憩適地になりました。

風は穏やかで良い日になりましたね♬

ふぅ〜、ひと休みしましょう。

万太郎山から仙ノ倉山が素晴らしいです。
ブナの芽吹きが始まっていますよ。
Pretty good!

9:15
Let's go!

まだまだ道は半ばです。

ガツガツせずに一歩一歩登りましょう。

再び急登の始まり。
お隣の茂倉岳が大迫力でした。
絶景に疲れも吹っ飛ぶ!?って事は無いか!
でもね、この景色があればこそ、頑張れますね。
Gorgeous!
ふぅぃ〜、さらに傾斜がキツくなりました。
尾根の南側には大きなクラックが奔り、
雪庇が崩れていました。
急登〜!
ひえぇ〜!登ってきた尾根を振り返ります。
ホイサッ!ホイサッ!!っと。

10:33
標高約1550m

ふぅぃ〜、ようやく長い長い急登が終わりました。

いよいよこの先から西尾根の核心部となります。

ヤセ尾根の雪庇は崩れて南側に落ちていました。
薮有り、クラック有りで緊張します。

尾根の両サイドとも滑落すれば、止まるかどうか?
ダメだろうな。

武能岳の山頂が見えてきましたよ。
雪庇はほとんど落ちています。
うわぁわぁ!
Take it easy.
ゆっくり慎重に行きましょう。
切れてるぅ。
最後の急斜面を登り上げれば西尾根は終了です。
積雪の状況によっては⚠️要注意ポイント!
西尾根の核心部のナイフリッジを振り返ります。

やったぜ!西尾根クリアです。

ここまで登れば山頂まであとひと頑張り!!

武能岳の山頂を目指して、一歩一歩行きましょう。
Go!Go!!
兎の足跡を追いかけて。


11:18
武能岳ぶのうだけ 1760m

ヤッホッホー!!

ガッツポーズを決めて武能岳に登頂で〜す!!

最高の最高で大展望に感無量です😭

茂倉岳から一ノ倉岳。
奥に仙ノ倉山から万太郎山。
白毛門から笠ヶ岳、朝日岳。
眼下には白樺避難小屋。
清水峠をズームアップして東電小屋と白崩避難小屋。
写真右から仙ノ倉山、エビス大黒ノ頭、万太郎山。

あっそうだ!腹減ってたんだよ。

景色に目を奪われて、忘れちゃうね。

今日は時間が読めない山行だったので、
ランチはおにぎりとエナジーゼリー
で済ませました。

武能岳から望む大展望の大迫力は
言葉と写真では十分に伝えられないなぁ。

だからといって積雪期に武能岳に登りましょう!
なんてとてもオススメ出来ないけどね。

ホント最高ーでした。

白毛門の上に日光白根山。
笠ヶ岳から大烏帽子。
朝日岳をズームアップ。

今日はとても良い日で風も無く、平穏な山頂です。
のんびりしたいけど、下山も気が抜けないからね。

12:00
よし、下山しよう!

北方に巻機山を遠望します。
登ってきた西尾根を見送り、蓬峠に向かいました。
蓬峠に続く稜線は雪が所々消えていました。
ここ数日は良い日が続いたし、風も強いのでしょう。
武能岳を振り返ります。
蓬ヒュッテが見えてきました。

12:39
蓬峠

蓬ヒュッテの周りは雪は少なかったですね。

ベンチに腰掛けて一休み。

12:50
さて行きますか。

蓬峠からの下山路の選択肢は三つ有りました。

❶夏道の蓬新道を辿る。
❷来た道を少し戻り、赤矢印の尾根の下る。
❸シシゴヤノ頭の南西尾根を下る。

❶蓬新道を辿る事は非常に難しいです。
❷蓬沢の雪渓の状態は不明です。
❸時間がかかりますが、安全の様に思います。

蓬沢の源頭部は滑落や雪崩れの危険性が高く、
蓬新道を辿って下山する事はオススメ出来ません。

急斜面を高巻きしたり、雪渓に降りたりして
少し強引に下山してきました。

正直に言うと遭難の可能性は高かったと思います。

このまま調子良く蓬新道に向かった訳です。
トレース無し!ここで止めるべきでした。
前方に見えるシシゴヤノ頭まで廻った方が安全でしたね。
かなりの急斜面を強引に下山します。
強引に蓬沢の雪渓まで降りましたが、
雪崩れが心配でサッサと山腹に上がりました。
GPSで位置確認しながら蓬新道に向かいます。
🧸熊棚発見!
山腹の急斜面をトラバース中。
やっと蓬新道の太尾根に合流出来ました。
ホッとひと安心です。
蓬新道から武能岳の西尾根を眺めます。

13:51
標高点1085m

ここに来てトレース発見!
二人分かな?
蓬沢の広い川床まで降りてきました。
足拍子岳からの雪崩れ跡。

14:46
武能岳西尾根取り付き点

何とかここまで無事に下山する事が出来ました。

一休みしてから来た道を戻ります。

武能岳よ"さようなら"
またいつか👋🏼

15:32
「安全登山の広場」手前の駐車スペース

やったねー。

先週の小出俣山おいづまたやまの難しい山行から何日も空けずに、厳しい難ルートを踏破する事が出来ました。

このまま調子に乗っているといつか…遭難かと
自分でも心配になりますがね、まずは怪我せず無事に下山出来た事に感謝したいですね。

無謀なルート選択を本当に反省しています😑

若輩者では有りますが、アドバイスを一言。

山行時期に関しては少し遅かったかなぁ、
3月の中旬頃までがベターでしょう。
4月入って更に融雪が進むと、薮漕ぎに苦労し
蓬沢は雪崩れの危険性が高まります。
西尾根のナイフリッジも難儀すると思います。

是非どうぞ!とはオススメ出来ませんが、武能岳の西尾根を登った事は忘れ難き思い出になりました。

〈おまけ〉
群馬/新潟県境に位置する三国峠は2022年3月19日に国道17号の「新三国トンネル」が開通しました。

新潟遠征の時の往復はいつも高速道路を利用しているのですが、せっかくなので今日は新しいトンネルを通って帰って来ました。

うぅ〜ん、普通のトンネルでしたね😁

『新三国トンネル』の新潟県側の入口です。

#356《おしまい》

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