「虹」by くるり
京都の風景だろうか。想像の風景だろうか。
くるり初期の絶叫系。エレキの音と、マイナーキーで始まるこの曲。何故か、私は中世ヨーロッパを想った。何の脈絡もないけど、イギリス民謡の『グリーンスリーブス』のような、古(いにしえ)の風景。詩の内容も、とても文学と哲学の要素の濃い歌だ。
♪丘の向こうから羽根のないかげろうが/虹をくださいと/水芭蕉呼んでいる
かげろうというのは成虫になってからの寿命が短い昆虫。そのかげろうが「虹をください」と言っている。このかげろうは少年の大切な友達の生まれ変わりなのかも知れない。
少年は峠の岩の上に立っているが、虹は見えず、代わりに遠く空が燃えている。
岸田繁は「くるり詩集」の中で
『「錆びた線路」はかつての文明、くちはてた「六地蔵」は宗教を表す』
また、
浜木綿の揺れている舟は『亡くなった同胞たちの魂を弔う』ためのものだと書いている。
少年の亡くなった友達は、時間軸を超えて、かげろうや、広大な野原、空と同化して少年のすぐそばにいたのだ。
そして少年はこの歌を歌う。
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