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「愛の不時着」のリ・ジョンヒョクの魅力とは何か?

女性が嵌るメロドラマの男性主人公は、理想の男でなければならない。
これ、重要なポイントで、ただ、魅力ある男であるだけではだめなのです。
「メロドラマ」と「ヒューマンドラマ」の主人公では、ここが違う。
女性には、理想の男で現実逃避するというプラス要素が欲しいのです。
では、愛の不時着のリ・ジョンヒョクとはどういう男なのでしょうか?

 実は、新しい理想の男性像といわれるリ・ジョンヒョクのベースには、伝統的な八つの要素がある。すなわち「仁義礼智忠信考悌」八徳があると思うのです。
 この八徳とは、あの「八犬伝」にも出てくる、八つの徳です。
これもとは、儒教だ、論語だと言われていますが、大衆文学におけるテーマである八徳として、考えていただきたいと思います。
  仁・・・思いやり、慈しみ、愛
  義・・・正義
  礼・・・生活規範、敬う心
  智・・・是非・善悪をわきまえること
  信・・・信頼すること
  忠・・・自らを欺かず誠実なこと、真心
  考・・・父母を大切にすること
  悌・・・兄弟の仲が良いこと
どうです。「愛の不時着」沼に落ちた人なら、それぞれ、どの徳がどのシーンに当てはまるのか、すぐに答えられることかと思います。
 しかし、この徳、なにも八つもなくとも十分ヒーローなわけで。仁義だけでもドラマできちゃいますからね。

 従来のドラマでは、このように古典的で、儒教的な要素を持つ主人公は、無謀な恋愛なんかしないで、世のため、人のために尽くし、悪と闘い、そこに女性が惚れ込むというラブストーリーになるところですが、なんと、リ・ジョンヒョクは、愚かにも、我を忘れて恋に落ちてしまうのです。
しかも、その相手が、自分という個を持ち自立した強い女性(見方によれば物欲の強いフェミニストともとれるユン・セリ)であるという驚き。まさに、この意外性こそ このドラマのポイントなのです。

 誰に非難されようとも、彼女の肩を持ち(というか肩を貸し?)、ついには、38度線(政治体制)をもこえ、結婚制度(社会体制)も超えてしまうというストーリー展開は、まさに、新しい時代のメロドラマだなと感じ入りました。

そして、当然、この八つもの徳でフル装備したヒーロー像は、女性に圧倒的な安心感を与える新しい理想の男性像として、なんの抵抗もなく、世の多くの女性たちに受け入れられるのでした。 

余談ですが、ドラゴンボールの元ネタは「南総里見八犬伝」だと言われていることを最近知りました。なんだ、そうだったのね。

その昔、祖父より、「八犬伝」について、読み始めたら面白くて止まらない、長いのに最後まで読んでしまうが、読んだからと言って何かが残るわけでもなない、それが大衆文学というものだ。だから、あまりハマらないように釘をさされたのにも関わらず、現代の大衆文化コンテンツの韓国ドラマにすっかりハマってしまいました。閑話休題。

「第3次ヒョンビンブーム」と言われるほど、リ・ジョンヒョク は当たり役となりましたが、ここで、俳優ヒョンビンについて、ファンの立場から一言。
 ユン・セリを演じたソン・イェジンを、フィギュアスケーターに例えるなら、大技も決め、繋ぎの演技も上手い、最高得点の保持者だと言いましが、さしずめ、ヒョンビンは、誰もできない大技を持っているけど、いつもそれが成功するとは限らない。だけど、成功したら、最高得点間違いなしなのにと言われる浅田真央のようなスケーターではないかと思うのです。
 金メダルを取れなくとも、スターになるスケーターなのです。

 各種演技賞の受賞回数もノミネート数も、ソン・イェジンの足元にも及ばないヒョンビンですが、「私の名前はキム・サムソン」でも「シークレットガーデン」でも、アジアに一大ブームを巻き起こしました。まさに、記録より記憶に残る俳優なのです。ヒョンビンの大衆を魅了するスターとしてのオーラは、案外、「八徳」と通じるものがあるのかもしれません。
 



  


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