選挙のイメージ戦略を熱く描いた韓国ドラマ「クイーンメーカー」が面白い
1.わたしは、負けたことがないの
こう豪語するファン・ドヒ(キム・ヒエ)は、財閥ウンソングループでイメージ戦略を担当する企画室長だった。つまり、財閥が裏で行っている悪事を綺麗なイメージに浄化していくやり手のフィクサーだった。
しかし、ソウル市長選に立候補する財閥の娘婿の悪事を知りることになり、さすがにこれは許せないと反旗を翻すが、逆に窮地に立たされることになる。
そこで、娘婿の当選を阻むべく、かつて財閥を告発していた人権派弁護士オ・ギョンスク(ムン・ソリ)を立候補させ、その選挙参謀となる。
2.選挙を舞台にした社会派任侠ドラマ
財閥に復讐するためには、選挙に勝たなきゃ意味がない。そのためには手段を選ばないと、敏腕フィクサーの本領を発揮していくファン・ドヒだったが、しだいに選挙は誰のためのものなのか、より大きな大義を意識していくようになる。
一方、社会活動家のオ・ギョンスクは、自らの理想の実現のために、大衆を味方につけた政治家になろうと変わっていく。
ドラマは、まるで任侠もの世界観というべき主演二人の絆と、大義名分を実現していくための自己犠牲に泣かされながらも、ハラハラドキドキのストーリーが面白い。
3.選挙戦のイメージ戦略に打ち勝つ方法が満載のドラマ
このドラマでは、選挙とお金、利権と政治家、SNSを使った中傷合戦など、表では民主主義を唱えながらも、目も当てられない選挙戦の現実が描かれていて、とてもフィクションとは思えない。
目先の利益に飛びつき、熱しやすく冷めやすい烏合の衆としての民衆も描かれている。それを、反面教師的に描いている点が面白かった。
では、そんな民衆を前に、ファン・ドヒはどうやって選挙戦を勝ち抜いていったのか、そこを面白く描いた点が傑作ドラマが生まれた所以だと思う。
4.ファン・ドヒ流、選挙に勝つイメージ戦略とは?
このドラマで描かれた選挙戦略は、どこかの国の万年野党にも大いに参考にしてもらいたいと思う。
①ファン・ドヒは、まず、圧倒的強者である対立候補(財閥の娘婿)に対抗するため、オ・ギョンスクを第2党である野党の候補者にさせるために野党に入党し、予備選挙にもっていく。野党とはいえ、既成政党をいかに利用するかが選挙でひっくり返すカギとなる。そのためには、野党内の予備選が必須となる。
②謀略やSNSを駆使し中傷を仕掛けてくる対立候補者に対しては、その悪行をスクープし、マスコミを使い、世論を誘導する。
目には目をとばかりに対抗した時、権力を持ってる方が、それだけ弱点も多いってこと。現代の選挙は思想戦ではない、謀略戦である。
③対立候補との一騎打ちに持ち込むべく、他の弱勢政党をも取り込む。
ネタバレになるので書かないが、このファン・ドヒ流のやり方はお見事。
④選挙で勝つためには、ぶれない信念の人を候補者にすること。候補者自身に信念がなければ、候補者のブランディングも上手くいかないのだ。
候補者に信念を持ち続けられるように支えることが選挙参謀の役割である。
このあたりの二人の名シーンを、ぜひ、ドラマで見て欲しい。
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