飛火野耀作品の売り上げトップ3(『飛火野耀読本』ミニコラム2より)
明らかに売れていた作品と、そうでない作品。
飛火野耀の場合、その差はかなり極端だったようだ。多くの作品が初版止まりである一方、一部の作品は年単位で版を重ねていた。
ここでは筆者が入手できた範囲で、その点を比較していこう。
ただし、あくまでも現時点で筆者が確認できた「版」での話とご留意頂きたい。特に『エメラルドドラゴン(下)』や『もうひとつの夏へ(下)』は、まだ未確認の版が残っているはずだ。
次点 『もうひとつの夏へ』上下巻(角川スニーカー文庫、1990年)
現在も代表作に位置づけられるタイトル。オリジナル作品で唯一、重版を確認できている。
上巻は1991年1月の重版。発行時期的に初版回収後の訂正版とは無関係である。下巻にも重版の可能性はあるものの、残念ながら未確認。
3位 『イース2 異界からの挑戦』(角川スニーカー文庫、1992年)
角川文庫からレーベルを変えての『イース』ノベライズ第二作。新装版『イース 失われた王国』(角川スニーカー文庫)とあわせて刊行され、それなりに売れていたようだ。
現在までに1993年9月の3版を確認済み。
2位 『エメラルドドラゴン』上下巻(電撃文庫、1994、5年)
メディアワークスが手掛けていた移植版ゲーム、『エメラルドドラゴン』。ゲームが同社の雑誌で推されていた時期であり、刊行されたノベライズも長く書店に置かれていた。
上巻は1995年11月の8版、下巻は1995年7月の3版までを確認済み。
1位 『イース 失われた王国』(角川文庫、1988年)
『イース 失われた王国』(角川スニーカー文庫、1991年?)
やはりと言うべきか。今も古本屋で見かける本作がトップとなった。レーベルをまたいだ新装版まで出ており、4年間ほど売れ続けていたようだ。
角川文庫版は1989年3月の10版を確認済み。
移籍後も数字が継続されており、角川スニーカー文庫版は1991年5月時点の18版を確認。カバーが掛け代わったのは、この2つの間の時期と推測される。
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ここまでお読み頂きありがとうございました。投げ銭は資料代に充当いたします……(てか重版の確認、ひたすら大変ですね……)。
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