見出し画像

破壊と創造

2024年1月5日。休日。
実は、昨年末にやり残していることがある。
 賞味期限が4月なのをいいことに、冷暗所に見えないよう放置し、なかったことにしていた。今日はそれに取り組む。季節外れだろうが、朝7時だろうが、やるったらやる。This Is me.

それが、この無印で売っていた「自分でつくる 組み立てるヘクセンハウス」。税込1690円。

 かわいいでしょ~!今年はささやかにクリスマスを楽しむって決めて、買ってあったのです。

タカギベーカリーでシュトーレンも買ったし~
同じく無印でスペキュロスも買ったし~

…。
甘いものばかりすぎるけれど、これはしょうがない。今年の師走はまさにドタバタだった。職場のコロナクラスター対応に年末進行。怒涛のイベント。本当に私は頑張っていた。

 そして誰にも頼らずに一人で頑張ろうとしすぎて、少々生きる意味を見失っていた。やっと1月に入って3連休を手に入れ、自分と向き合う時間がとれた。それ故の今更ヘクセンハウス建設なのだ。これは自分を甘やかすための装置。

開けると、無印で「壊れてないですね~」と確認してもらった大きな壁、屋根、煙突のパーツにサンタさん、白い粉(アイシングパウダー)が現れる。んふ~。かわいいねぇ。

 裏面を読む。まずはアイシングをねりねりせねばならぬのか。粉に水を入れて練る。むっっ、結構ゆるいな。すかさず残してあった粉を足してちょうど良い固さになるよう調節。

 絞り袋に入れて、いざ、デコレーション!!!

………。


あへーっ、アイシング難しいっっ!!!!



 
YouTubeのお菓子作り動画で見る、美しい点、線、やがて立ち現れるお菓子の芸術。あれはいわゆるプロの技だったのだ。
 
画家・ピカソはたった30秒で書いたスケッチに100万ドルの値段をつけ、驚いた人にこう答えたという。「私はこれまでに30年も研鑚を積んできた。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒だ」と。



ながら見していたショートの裏には、きっと血も汗もにじむ努力があったことだろう。なのに、簡単にできるなんて思い上がって、私は、私は…!菓子職人の受難を胸に、涙しながら壁や屋根を不器用に飾り付ける。
 
あとはちょっとアイシングが柔らかいかな~。水はほんとうにちょっとでいいみたい。(来年おなじキットで作る方は、良かったら参考にして下さい。)
 
乾いたか。次は壁4面を張り付ける工程。端にアイシングをチューッと絞り、4面を一気に貼り…貼りつけ…。
 

イーロン!!!!!


 
 
いけない、X(旧Twitter)の仕様がどんどんおかしくなる怒りから、CEOに歯向かってしまった。難しい。難しすぎる。金八先生の「人という字は互いに支えあって人となる」という名言は本当でした。

4面を1人の人間で支えるなんで大技、どだい無理なのだ。あちらが建てば、こちらが建たず。自分の孤独をかみしめながら、必死に自立しようと斜めに支え合う壁を、私も支える。

うまくくっつけるコツは、甘いアイシングですうすうの隙間をたっぷり埋めてあげることかな。愛、だよ。愛。
 


屋根…重いな、乗せてみるか。
 
 
 
バタッ。
 
 
 

ア、 ハーン!!??



 
ドリフターズのコントのように崩れる屋根、壁、私が作り上げた全て。
ふーん、神様ってこういうことするんだ。

「焦りなさんな」と肩を叩かれたような気分だ。壁4面をくっつけている間、せっかくなのでコーヒーとランチパック(鶏ちゃんこ風味)で棟上げの儀式。大きくプリントされた横綱白鵬がめでたいではないか。


 裏面の「鶏ちゃんこ鍋風フィリング」という日本語。これ以降の人生でお目にかかることはないでしょう。あさりエキスやみりんも入っており、制作陣の努力を感じる。しかし、ちゃんこかと言われたら、うーん。
 
 
 さて、気を取り直して屋根の取りつけ。貼り付けたらある程度固定されるまで押さえておく。そっと手を放す。今度はうまく付けられた模様。嬉しい!失敗しても、制作途中だということにして、何度でもやり直せばいいのだ。
 
雪を模して、屋根にアイシングを掛ける作業。これ楽しい~。ここが製造工場なら、私は屋根アイシング上掛けラインに配属されたい。何百棟もやると飽きるだろうか。それとも芸に磨きがかかり、情熱大陸やセブンルールに「ヘクセンハウスの屋根 アイシング掛け職人」として取り上げてもらえるだろうか。

➀夜は21時に寝る。➁コーヒーは1日二杯飲む。➂忘れたいことがある時は散歩に限る…etc.セブンルールのエンディングにかかる「ひとつだけ」がすごく良くって大好きだったなぁ。
 
 
妄想はほどほどにして、あらかじめ作ってあった煙突をくっつける。白川郷の合掌造りもかくやという急勾配の屋根。ずれてくるのではないか、と心配していたが、なーんだ、大丈夫。
 
屋根の隙間にはパステルカラーのラムネ。
寂しい箇所には星型チョコチップ。
 



 

できました!!!えーん、かわいい~!!!色合いが薄い色合いのお菓子を選んでくっつけることで、メロウな雰囲気に。それゆえひときわ目立つサンタさん。余ったチョコレートで囲んで、狼狽させてあげました。 

肝心のクッキー生地はコリッと固め、素朴な風味が楽しめる味です。生地から建設するバージョンもあるけど、「大仕事」とのレビューあり。

  最初は「うーん、せっかく買ったしやっちゃうか…。」くらいの気持ちだったが、途中から本気(マジ)に。久々にクリエイティブなことができて、大変心が満たされた。ばかばかしくても、悲しくても、一人でも、真剣になると、楽しいものですね。なんでも。 


あ~久々に心がきらきらしちゃった!いい朝です。
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?