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イシューからはじめよ(読書感想)

書籍の情報

安宅和人
英治出版
2010年12月11日 第1版第1刷

目次

序章 この本の考え方 脱「犬の道」
第1章 イシュードリブン 「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン① イシューを分解し、スタートラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン② ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン 実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン 「伝えるもの」をまとめる


読書感想

本書の主張は次のとおりである。

「何に答えを出す必要があるのか」という議論から始め、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」というイシューを見極めた上で、分析を設計・実行することが大切だ。

イシューとは、次のABを満たすものである。
A ) 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B ) 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

また、よいイシューは次の3条件を備えたものである。
1 ) 本質的な選択肢である
2 ) 深い仮説がある
3 ) 答えを出せる

イシュードリブンで「解く」前に「見極める」ことが、大量の仕事をすることでバリューを上げようとする「犬の道」を避け、インパクトのある仕事を成し遂げるために重要である。


ところが、肝心なイシューの見極め方については「経験が必要」とある。
これでは経験がないと、そもそも「イシューからはじめ」られないのでは。。。
分析の進め方より、イシューの見極め方を重点的に記述して欲しかった。


印象に残った箇所を引用

2ページ
意味あるアウトプットを一定期間内に生み出す必要のある人にとって、本当に考えなければならない事は何か。
この本はそのことに絞って紹介したい。

3ページ
「何に答えを出すべきなのか」についてブレることなく、活動に取り組むことがカギなのだ。

目的地の見えない活動は、辛いが、行き先が見えれば力が湧く。
つまり、知的な生産活動の目的となるものがイシューなのだ。

25ページ
イシューの定義
A ) 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B ) 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

AとB両方の条件を満たすものがイシューとなる。

26ページ
「イシュー度」とは「自分の置かれた局面で、この問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対して、どこまで明確に答えを出せているかの度合い」となる。

36ページ
成長は意味あるアウトプットをきっちり出すことからしか得られない。

45ページ
「犬の道」に入らないためには、正しくイシューを見極めることが大切だ。
いろいろな検討を始めるのではなく、いきなり「イシュー(の見極め)からはじめる」ことが極意だ。
つまり、「何に答えを出す必要があるのか」と言う議論から始め、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」と言う流れで分析を設計していく。
分析結果が想定と異なっていたとしても、それも意味のあるアウトプットになる確率が高い。
「そこから先の検討に大きく影響を与えること」に答えが出れば、ビジネスでも研究でも明らかな進歩となるからだ。

「やってるうちに、見えてくるさ」と成り行きまかせが横行するが、(多くの人が経験しているとおり)これこそがムダが多く、生産性の低いアプローチだ。

47ページ
イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか」「説明力がある形で検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」と言う判断が必要になり、ここにはある程度の経験と「見立てる力」が必要になる。

50ページ
仮説を立てて、仕事を与えられれば、仕事を振られた人も自分が何をどこまで調べるべきなのかが明確になる。
答えを出すべきイシューを仮説を含めて明確にすることで、無駄な作業が大きく減る。

50〜52ページ
何はともあれ「言葉」にする

言葉(数式中点化学式を含む)は、少なくとも数年にわたって、人間がつくりあげ磨き込んできた、現在のところ、最もバグの少ない思考の表現ツールだ。
言葉を使わずして、人間が明晰な思考を行う事は難しい。

55ページ
よいイシューの3条件
1.本質的な選択肢である
2.深い仮説がある
3.答えを出せる

238ページ
「イシューが大切なことはわかったが、どうやって自分の見ているものがイシューかそうでないのかがわかるのか。今ひとつふに落ちない」
と言う感想もある。
そういう人には、僕は次のように伝えている。
「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。後はあなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ」と。

239ページ
「見極めるべきは何か」「蹴りをつけるべきは何か」を自分の目と耳と頭を頼りにして、自力で、あるいはチームで見つけていく。
この経験を一つ一つ繰り返し身に付けていく以外の方法はないのだ。

イシューからはじめよ

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