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もし君が神様だったなら。

A:
「ねぇ、神様。あなたは全知全能なんでしょ。全知全能って食べたい時に食べたいケーキを食べることが出来て、テストでも100点取ることができて、サッカーでも好きなシュート決められるんでしょ。だから大好きな人にも絶対に好きになってもらえる。そんなのずるい。羨ましすぎるよ。」

B:
「どうした。急に。今日、学校で全知全能だっていう言葉を習ったのかい。」

A:
「うん。学校の先生からそう習ったんだ。全知全能って、難しい言葉だけど、アベンジャーみたいに空飛んだりできるんでしょ。ずるいよなー。」

B:
「そうか。私が全知全能だということが羨ましいんだな。」

A:
「うん。すっごく羨ましい。」

B:
「じゃあ、Aに質問してみよう。君がいうように、君が"全知全能"で本当になんでも出来たとしようか。まず何をする。」

A:
「やりたいこと全部やるよ!足早く走ってリレーで1番早く走れるようになって。勉強だって誰よりもできるようになるんだ!そして市の大会でも一番になって、全国大会に出て、テレビに出て、有名人になりたい!」

B:
「そうか、そうか。それは嬉しいのか。」

A:
「うん、嬉しい。みんな僕のこと馬鹿にしなくなるし、みんなが僕が一番って思うんだ。」

B:
「一番だって思われたいんだな。それも叶うだろう。全知全能はなんでも叶ってしまうんだ。何の努力をしなくても、何でも知っているし。学校の勉強なんかいらないし。走る練習だってしなくていい。なんでもできる。」

A:
「いいなぁ。ドラえもんとか羨ましいもん。道具で全部やりたいことできて。」

B:
「本当にそう思うのか。例えば、今楽しいことって何だ。」

A:
「うーん。友達とゲームしたり、走る練習して、少しでも早く走れるようになること!みんなとの練習が楽しいんだ。前できなかったことができるようになったり。」

B:
「本当に全知全能だと、練習なんてしなくていいし、一瞬でゴールに行けるし、ゲームなんて先まですべて読めるから、一度もゲームオーバーにならずにクリアーできるぞ。それは本当に楽しいのか。」

A:
「え。楽しいんじゃないの。ん…。でも、すべて分かっちゃうってそんなにつまらないの。」

B:
「発見する喜びはもうなくなるんだぞ。苦労することもなくなる。成長することもなくなる。最初からRPGのゲームでレベルが999などころか、一瞬でゲームクリアー出来てしまうから、レベル上げとか、仲間を集めるとか、すべて一瞬でできてしまう。」

A:
「えー。じゃあ、鬼滅の刃の誰が一番強いかなーとか、そういうことも話す必要なくなっちゃうじゃん。そういう話が面白いよね。そんなのつまんない。なんだ、神様ってつまらないんだね。」

B:
「全知全能とはそういうことなんだよ。だから、私はむしろ、なぜ君が全知全能を羨ましいと思うのかわからないよ。」

A:
「そうかー。えーそしたらぼく、今のままでいいー。」

B:
「そうか。じゃあ、もし君が神様だったなら。君は何をする。」

A:
「ぼく、人間がいい。全知全能、つまらなさそうだもん。神様って出来杉君みたいに、何でも出来ていいやつだけど、なんかつまらいやつになりそう。それよりも、のび太とかジャイアンのほうが僕好きだもん。」

B:
「出来杉君みたいか…。神様にそんなこというやつとは初めてであったぞ。でもいいことを教えてやろう。神様が憧れるのは人間なんだよ。」

A:
「え、なんで?神様が一番偉いんじゃないの。」

B:
「私たちはな、これが欲しいといえばすぐに叶ってしまうんだよ。君たちが求める運動神経も。お金も。地位も。車も。ドラえもん全巻のマンガ本も。でもそんなのすぐに飽きるんだ。」

A:
「なんでもあるとか楽しそうだけど、なんか凄いつまらなそうだ。やっぱり。」

B:
「苦労したり、何かを作ったり。それをむしろ私たち神様はしたいのさ。それに全てを知っているし、未来も分かっているから、冒険なんてものはできない。君たちのいう、冒険は楽しそうだ。あれは未来がどうなるかわからないから楽しいんだろう。でも結末もプロセスもすべて知っている冒険なんてつまらないさ。」

だから実はね。私たちがしたいけどできないことを、君たち人間は全部持っているんだよ。」

A:
「へぇ、神様も悩んでいるんだね笑。」

B:
「悩むことすらないのさ。で、全知全能だったらどうする。」

A:
「んー。人間にしてもらうかな笑。」

B:
「そうか、そうか。」

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芸術のげの字も知らなかった素人が、芸術家として生きることを決めてから過ごす日々。詩を書いたり、創作プロセスについての気付きを書いたり、生々…

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