代わりになるもの

ジョニーは、私との事は何事もなかったのように、いつも通りみんなと一緒に遊ぶ事が続いた。
私もどこかでもう一度ジョニーとSEXしたいという思いは握りつぶしていたのだろう。なぜなら、2度3度と体を重ねる事で、私の中の彼はただの男へと落ちぶれて行きそうだったからだ。
婚約している彼女がいるのにも関わらず、6歳下の女子高校生に手を出す彼は、きっと他でも同様の事をしているだろうと、容易に想像できた。その時点で、彼は私の中で十分に落ちぶれていたのだ。
キスをしてSEXをして、あれほど幸せでオーガズムを感じたのに、そんな彼の彼女に対する誠実さを疑い、どこかで呆れていた。
体はあんなに気持ちいいのに、心は真逆で乾いていった。
そこで私は、ジョニーの代わりになる人を探し始めた。堰を切ったように、多くの男とSEXをして、本当に心と体が同一になれる代わりの人を必死で探したのだった。

オーガズムを感じても心が感じていない❎
心は感じているけどオーガズムを感じない❎

そんな中で、バンド仲間で同じドラマーだった2つ上のケニーと付き合う事になった。
「ご飯を食べに行こう」
という、ありきたりな誘い文句だった。彼は底抜けに優しくて顔はジャニーズ系、少し前まで彼女がいた。
一緒にいると安心したし楽しかった。私を本当に好きでいてくれる純粋さもあった。SEXの相性もそれほど悪くはなく、それほどよくもないという程度。
何より、誰よりも私を愛してくれていた。
今考えると、コンドームを使ったSEXは、彼だけだった。
私は高3になっていた。
将来の事を少し考えるようになっていた。バンドメンバーはバイトをしながら、バンド活動をしており、CDの自主制作もした。あちこちにライブをやりに出かけて行った。いつまでこんな事をしていられるんだろうか?バンドを続けたいと、夢に向かって走る自分と、冷静に先を見ている自分が語り合っていた。
このまま、ケニーと結婚するのか?社会に出ずにそんな事していいのか?
答えは、NO。私はある病院に、看護助手として働くことにした。人が好きで人に携わる仕事に就きたかったのだ。面接に行くと、師長から、
「あなた、看護学校に行って、看護師になりなさい」と思いもよらない事を言った。行かないと就職できないのかも、という理由で、看護師への道を決めたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?