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特撮ヴィラン語り ~その287 テニスワルド~

日本には色々な名作スポーツ漫画があります。
「巨人の星」「キャプテン翼」「アイシールド21」……あるいは少女漫画でも「アタックNo.1」「エースをねらえ」など、挙げればキリがありません。
ですが、そんな中で後にも先にも類を見ない個性を発揮する漫画があります。そう、「テニスの王子様」です。

テニスボールが人間を吹き飛ばす凶器と化し、
シングルマッチのはずなのに謎の分身能力でダブルスをやってみたり、
いつの間にやらコート上でミュージカルが始まるなど、
テニスの定義自体がもはや怪しくなってくるすんごいの

何と2021年にはまさかの新作映画まで公開されておりましたが、

そんな「テニスの王子様」に真っ向から戦いを挑んだのが「機界戦隊ゼンカイジャー」でした

今回紹介するのはテニスワルド。テニスが全てを決める並行世界:テニストピアの力を封じ込めたトジルギアで誕生した怪人です。
テニスワルドが打つ打球を受けた人間はなんとテニスボールに変化してしまい、身動きが取れなくなってしまいます。ゼンカイジャー達が立ち向かうも普通の攻撃はテニスワルドには効果が薄く、圧倒的不利を強いられる状態。
テニスワルドを倒すにはそう、テニスで戦うしかないのです。

うん待って、テニスって戦闘術じゃないからね?

たまたま地球の漫画でテニスを学んだ異世界の海賊:ゾックス/ツーカイザーのアドバイスを受け、テニスの猛特訓に乗り出すゼンカイジャー。
そして世界の命運をかけたゼンカイジャーVSテニスワルドの、何でもアリテニスバトルが遂に開幕します。

当たると爆発するテニスボール、
突然深い理由もなく分身するテニスワルド、
ダメージ回復のために「出でよ滝!」とどこからともなく滝の水を呼び出して回復するゼンカイジャー、
長々と続く目にも留まらぬ高速ラリー、

ツーカイザー「やっぱり漫画で読んだ通りだ…!」

お前の漫画知識今すぐリセットしろゾックス
「テニスの王子様」じゃなくてせめて「エースをねらえ」の方を読め

もはやテニスかどうかも怪しいながらも圧倒的劣勢に追いやられるゼンカイジャーでしたが、事態を見かねたライバル:ステイシーがゼンカイジャーたちに加勢。
そんなトンチキ放題のテニスの中で、一人だけちゃんと基本に忠実なパーフェクトテニスをやってテニスワルドに一泡吹かせ、マスクを吹き飛ばして無力化させる大活躍を見せてくれました。
マスクを失ったことでテニス以外の攻撃がきかないというテニスワルドの特性は喪失、以降は通常通りの戦闘に戻り、見事テニスワルドは撃退されました。

とまあムチャクチャなテニスを真っ向から実写でやってのけた「ゼンカイジャー」でしたが、実のところ特撮とテニスって結構縁が深いんです。
それこそ平成以降の特撮ヒーロー番組に出演される役者さんって、いわゆる「テニミュ」――そう、「テニスの王子様」の2.5次元舞台に出演経験のあった方が多いんです。ゾックスを演じた増子敦貴さんもその一人。
さらにステイシーを演じた世古口凌さんは学生時代テニス部だったそうで、ご本人がスタッフさんとの会話の中で「いつかテニスの話やりたいですね」って言ってたのがこのテニスワルドのエピソードの発端になったんだそうです。

こんなはずじゃなかったって思ったろうなぁ世古口さん…

matthew

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