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特撮ヴィラン語り ~その347 グレイ~

いつの時代も、ライバルというのは魅力的なヒールです。
真っ直ぐなヒーローに対してどこかアウトローな雰囲気を持ち、それでいて自分なりの美学を貫き通す意志の強さ。そういうところに大人は弱いんですよねぇ。

個人的に記憶に残るライバルキャラの1体が、「鳥人戦隊ジェットマン」に登場するグレイ。次元戦団バイラムの幹部の1人であるロボット戦士で、漆黒のボディに様々な武装を内蔵した強敵です。
だというのに酒とタバコをたしなみ音楽を愛するという、キザでニヒルなダンディイケメン。ジェットマンの1人である結城凱/ブラックコンドルも似たような嗜好の持ち主で、お互いにそんなアウトローな雰囲気にシンパシーを感じたのかよきライバル関係を結ぶようになります。

確認だけど子供向けのヒーロー番組ですよね?
ここだけ急に30~40代のミドルエイジな雰囲気出してね?

って思うじゃないですか。
でもね、実際「ジェットマン」って異色中も異色なんですよ。メンバー内で三角関係普通にやってるし、むしろその三角関係で1年のドラマを引っ張ってるし、あと普通にバイラム側のドラマがサイコサスペンスみたいになってるし。

基本ずっと子供向けっぽくないんでむしろグレイが割と常識寄りという何だこの逆転現象

さて、バイラムには明確な組織の長というものがいないため、幹部たちは地球侵略のついでに最も戦績を挙げた者がトップに立つという独自のルールを掲げ、時に出し抜き合い蹴落とし合いながら侵略の魔の手を伸ばすというチームワークゼロの最悪な連中だったりするのですが、実のところグレイはその中で1番の常識人です
トップ争いにはさほど興味を示さず、あくまでも正々堂々とした正面からの戦いを好む誇り高き戦士。
しかも実は、グレイは組織内で唯一の女幹部:マリアに惚れており、そのキザな立ち振る舞いで彼女に真摯なアプローチを度々見せているのです。

もうお前悪役辞めて平和に暮さん?

ところが物語終盤で衝撃の事実が発覚。
マリアの正体は、ジェットマンのリーダー:天堂竜/レッドホークの同僚にして恋人であり、バイラムの侵略の中で行方不明となっていた女性:リエだったのです
バイラムの洗脳が解けてリエとしての記憶を取り戻したマリアは事実を知ったラディゲによってあっけなく斬殺。
悲しみに嘆く竜たちの後方で静かにその最期を看取ったグレイでしたが、最終決戦でもその悲しみを胸に宿敵・ブラックコンドルとの壮絶なタイマンに身を投じます。
片腕を斬り飛ばされ、全身の装備も損傷。対するブラックコンドルもヘルメットが割れ傷だらけの状態になり、お互いにボロボロになりながらも最後はブラックコンドルが勝利。敗れたグレイはライバルである凱の強さを称え、そして凱もまた彼への手向けにと、最期の一服に自らのタバコを手渡しました
そして「先に行け…お前の仲間が待っている」と凱の背中を押し、自らの死を看取られないようにしたうえで静かに機能を停止したのでした。

惚れてまうやろおおおおおおお!!!(感涙/あとネタが古い)

matthew

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