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特撮ヴィラン語り ~その320 ハリガネ邪面~

令和最初のスーパー戦隊作品となった「魔進戦隊キラメイジャー」。令和らしく多様化など現代の価値観に基づきつつも、新世代のスタンダードのようなストレートな物語が描かれています。
そんな中でも敵組織:ヨドンヘイムが毎回送り込んで来る邪面師たちは様々なモチーフにちなんでコミカルな作戦を繰り出して来ましたが、随一と言っていいほどシリアスで悪辣な手口を見せたのがこのハリガネ邪面でした。

ハリガネ邪面は、全身を構成する針金を自在に伸縮・変形させることで様々な姿に変装する能力を持っていました。
そして心の脆い地球人を探してその絶望から即席で巨大邪面獣を生み出す実験を命じられると、漫画家志望の青年:八太三郎に接近し彼を利用するために、カロリー君という白服の少年の姿に変装します。
そしてカロリー君は同じくイラストを趣味とするキラメイレッド/熱田充瑠と正体を伏せたまま仲良くなり、共に三郎の元に通うようになりました。プロを目指し奮闘する三郎を励ます充瑠とカロリー君は、近日予定されていた漫画雑誌の新人賞への応募を勧めます。
が、全てはハリガネ邪面の目論見通り。その新人賞に落選してしまった(あるいはさせてしまった?)三郎の絶望に付け込み、本性を露にしたハリガネ邪面はその感情からジイシキジェルガという巨大邪面獣を生み出して操縦、三郎と一体化させた状態で街の破壊活動を開始します。

あまりのシリアス加減に別作品かと思いましたぶっちゃけ

実際ハリガネ邪面もこのジイシキジェルガも、見た目的にめっちゃ不気味でギャグ要素が見られないんですよね。
ハリガネ邪面に関しては、まるで針金が角を持った悪魔のような頭部を象っていて。いわゆる集合体恐怖症ってあるじゃないですか、ワラワラ湧いてる虫とか細かいブツブツが気持ち悪く見えるヤツ。アレを思い起こさせるデザインが何とも怖い。
そしてハリガネ邪面が生み出したジイシキジェルガはというと、漫画家志望でヲタ気質のある三郎の性格を反映してなのか、心臓をモチーフとしながらもそこに漫画の原稿やDVD、ゲーム機のコントローラーなど色んなものが埋め込まれているというね。「自意識」という抽象的なモチーフをどう処理するかと思いきや、心の中に抱いている様々な趣味・嗜好をそのまま具現化させているわけです。
それが生々しい心臓を象っているというのが、まあホントに怖い。久々のトラウマ級デザインです

ただ、こういう突然の変化球が出て来るエピソードって大抵名作なんですよね。「キラメイジャー」の中でもこの1話は屈指の名作として評判です。
しかもこの難しい三郎という役柄を演じたのは、「有吉の壁」などでブレイクを果たしながらも、相方が体調不良になってしまいピンでの活動を余儀なくされたお笑いコンビ:かが家賀屋さん(髪が長い方です)。
そういう苦境に立たされながらも番組に出演し続け、相方のカムバックまで必死で踏ん張っている(現在はコンビ活動に復帰出来ています)ご本人の姿がダブってか、余計に印象的なエピソードでしたね…

matthew

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