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特撮ヴィラン語り ~その396 Sプラズマ融合獣スフィアジオモス~

ウルトラマンダイナ」放送から25周年を記念し、「ダイナ」へのオマージュを随所に盛り込んで作られた「ウルトラマンデッカー」。
メインとなる敵はもちろん、「ダイナ」において人類の敵として様々な怪獣を生み出して来た宇宙生命体スフィアであり、「デッカー」劇中でもこのスフィアによって様々な怪獣が作られました。
ところが、25年も経つと人類も色々と進歩を果たしたからでしょうか。そのスフィアですらうまいこと利用してしまおうという輩が現れてしまうんですこれが

正気の沙汰とは思えん話ですよねまず

撃墜されたスフィアの亡骸を秘密裏に回収し、そこから抽出したスフィアプラズマを新しいエネルギー源に転用しようというベンチャー企業「サイテックスラボラトリーホールディングス」。
その研究施設で異常なエネルギーが検知されたことからGUTS-SELECTが調査を開始、あえなくそのスフィアプラズマ増殖炉の危険性を察知されてしまいます。
ところがやめときゃいいのにここで社長が暴走。「アレコレ文句つけられる前に完成させちまえば文句は言えんだろ!」と増殖炉の出力を上げた結果、そのエネルギーによって何とスフィアが復活。暴走した増殖炉の莫大なエネルギーもろとも融合する形でこのスフィアジオモスに姿を変えてしまったのです。

まあこれウルトラシリーズだと割とあるあるなんですけどね昔から
調子に乗って新兵器開発したらそれが怪獣に乗っ取られちゃうヤツ

莫大なエネルギーを内包したスフィアジオモスはとにかく危険。あらゆるエネルギーを体内に取り込むとそのエネルギーを使って空間にワームホールを作り出し、そこから時空を超えて無限にスフィアザウルスを呼び出すことが出来ます。
しかし、これに対してGUTS-SELECTの判断もなかなかのものでした。何せ地球防衛に使える装備が枯渇状態。そんなこともあって、このスフィアプラズマ増殖炉の危険性は理解しつつも、残留していたエネルギーを使って1発限りのエネルギーキャノンをぶちかましてスフィアジオモスを倒そうとします。もうここまで来ると泥沼ですわ。
しかし、スフィアジオモスが展開した超強力バリアによって射線が逸らされスフィアザウルスを1体撃破するのみに。撃破されたところでまた呼び出せばいい話なので、これではじり貧もいいところという危機的状況になってしまうのでした。

そんな状況を陰から眺めて嘲笑していたのが、「デッカー」におけるもう1人のヴィランであるバズド星人アガムス。彼の母星はスフィアの大群によって滅ぼされる未来を辿っており、そのスフィアは避難して来た地球人を追ってバズド星に来訪してきたという背景があったのでした。
「地球人がバズド星に来たせいでスフィアに故郷が滅ぼされた」という恨みを抱くアガムスにとっては、そうしてスフィアによってもたらされた災厄をスフィアの力で収めようとする人類の姿は何とも皮肉の利いた末路。
でも何とも言い返せないのが一番歯痒いんですよね…確かにここまで来ると「どっちもどっち」と一言で片付けられる状況だし。実に厄介なエピソードだと近年でも強く印象深く残りました。

matthew

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