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特撮ヴィラン語り ~その128 水のエル~

平成仮面ライダー第2作として製作された「仮面ライダーアギト」で導入されたのが、1年みっちり通じての「謎解き」でした。
前作の「仮面ライダークウガ」は刑事モノさながらのリアルタイムサスペンスで1年間続いてきましたが、その成功から「1年間通しての大きな謎解きで、1話も目が離せない大河ドラマにしてはどうか?」という挑戦が導入されたわけです。
その軸になるのが、主人公である津上翔一/仮面ライダーアギトの失われた記憶。自分が何故アギトの力を手に入れたのかもよく分かっていない翔一がその記憶を取り戻す過程を一緒に見ていくことで、謎が解けていくというわけです。

そのキーワードが、「あかつき号」という船の転覆事故。航海中に天変地異のような暴風雨に見舞われた乗客たちでしたが、奇跡的に全員が救助され生還。しかし生還した誰もがその事故の原因や経緯を一切語ろうとしないという、いくら忌まわしい記憶にしてもきな臭さプンプンの話です。そして、その事故に翔一自身も深く関わっているというのが重要なところ。
生き残った乗客たちは独自のコネクションを構成して生きてきましたが、しかし彼らは次々に不審な死を遂げていきます。誰が、何のために彼らを?

「ラストサマー」か「スクリーム」かっていう青春ホラーみたいになってますけど、ちなみに生存者は全然青春してない立派な社会人世代です

まあこういうサスペンスモノって、ある程度登場人物のパターンがあるじゃないですか。
やたら喧嘩っ早いのとか、頼れるリーダーっぽい感じを見せつつも呆気なくやられちゃうとか、トラウマから色んなことに疑心暗鬼になるタイプとか。その中で誰が犯人かっていう定番ね。それを「仮面ライダー」でやっちゃう辺りがだいぶチャレンジではありましたが。
そしてこの「アギト」で犯人役になったのが、疑心暗鬼になり過ぎたタイプの関谷真澄さん。黒髪ロングにメガネ、地味な服装といかにも神経質かつメンタル弱そうな雰囲気ビンビンです。
他の仲間たちと比べて排他的で、ちょっとでも自分たちの秘密に近付こうとする輩がいたら全力で排除しにかかるタイプ。仲間からの親切に対しても突っぱねるほどヒステリックな彼女でございますが、

実際は事故のトラウマのせいじゃなくて元からだったというね

しかしなんとこの彼女、実は「あかつき号」の事故を引き起こした闇の力の使徒:水のエルに密かに憑依されていて。生き残りの仲間たちを殺したのはその水のエルに操られていたからなのでした。
何故そんな犯行に及んだのか、そして事故の真相がどんなものなのかはここでは語りませんが、事実を知った真澄さんは用済みとして水のエルに抹殺されてしまいます――そして水のエルは遂に本格的に行動開始に出るわけです。

この水のエル、「アギト」における怪人:アンノウンの中の上級幹部的な位置づけです。アンノウンのデザイン共通項として肉食獣のような大きな顎があるんですが、水のエルを筆頭にエルロードと呼ばれる幹部たちはその部分が人間の顔のようになっています。
水のエルはモチーフが鯨で、シルエット的にはなんか西洋の女神官みたいな曲線的なボディラインが特色。口元と言いちょっとセクシーなんですけど、

ガッツリ声はオッサンなんですよね、ド低音の

まあ神の使いみたいなもんだし(悪い神だけど)性別を超越した存在ってことなんでしょうけど、放映当時は結構その辺が衝撃的というか強く記憶に残ってて。怪人が喋るかどうかじゃないんですよ、ド低音のオッサン声で喋るっていうのがすんごい印象的で。もう強いかどうかじゃなくて声しかほとんど記憶に残ってないぐらいでした(おい)
いや実際強いんですよ?ライダーキック1発じゃ死なず、連続で3人分のキックをぶち込まれてようやく死ぬとか、翔一がトラウマ刻まれて戦いを避けるぐらいだとかさ、幹部ってだけのことはあるんですよホント。

でももうそんなのより声がさ、ひたすら声がさ…(当時の俺)

っていうのしかホントになかったんです記憶に。なんか、ごめんw

matthew

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