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特撮ヴィラン語り ~その232 ウカワーム/間宮麗奈~

2006年放映の「仮面ライダーカブト」から、今回は中盤より登場した幹部クラスの怪人:ウカワームをご紹介。
劇中の敵であるワームは人間に擬態する虫型の宇宙生物で、あくまでも擬態なんで基本的に性別という概念がないんですが、多分その中で唯一女性っぽさを前面に出したデザインじゃないでしょうか。なんせ口紅塗ってるんですから。一応おっぱいもあるし(一応て)。
デザインのモチーフは蟹の一種であるシオマネキですが、デザイナーの韮澤靖さんの趣味で裏モチーフとして、「仮面ライダーV3」の敵組織デストロンの幹部であるヨロイ元帥も意識したそうです。

若者には通じない隠し味って特撮のデザイナーさん大体好きなんだよね

さて、そんなウカワームが擬態したのは間宮麗奈という女性。やたらと音楽用語をセリフに混ぜるのが特徴的でした。「お前に私のレクイエムを聞かせてやろう」と敵を挑発したり、「子守唄を歌ってあげよう」と余裕げに少女に語りかけたり。「カブト」のキャラってみんなセリフ回しが独特なんですが、まあ彼女もその類。
実は間宮麗奈は女性オペラ歌手で、ウカワームに殺害されて擬態されてからは行方不明扱いになっていました。だから音楽用語をセリフに入れたがるわけです。

いやそんなわけねえわ
ミュージシャンがみんな日常会話に音楽用語混ぜてるわけではねえわ

そんな彼女ですが、カブトとの戦闘のダメージからある時自分がワームだった記憶を失くしてしまい、間宮麗奈の人格が覚醒。なんと彼女を巡って仮面ライダー同士の恋愛バトルが巻き起こります。
ぶつかり合ったのは女性にとことん優しいメイクアップアーティストの風間大介/仮面ライダードレイク。対するはエリート街道を外れ組織からも追い出された自称「闇の住人」矢車想/仮面ライダーキックホッパー

揃いも揃って見る目がねえ

人間の記憶に目覚めてしまったワームは排除しなければならない、と同族のワームから追われる麗奈を巡り、どんぐりの背比べのような低次元な動機で争う二人。お前ら散々やられてきただろうがそいつに
やがてワームの人格を取り戻した麗奈は、大介のまっすぐさに惹かれたのかドレイクとの決着を望み彼に挑みます。好きな人を討てない大介の甘さを知ると、敢えて大介の相棒である少女のゴン(あくまでもあだ名です)に襲いかかる素振りをし、自らを倒す動機を与えてやるという優しさまで見せて。
あまりに急なラブストーリー&幹部クラスの退場に当時はビックリしましたが、このジェットコースター感とぶっ飛んだキャラ造形が「カブト」らしいんですまた。

そういやこのウカワームと言えば、必ず真っ黒な喪服姿で登場するという特徴がありまして。というか幹部クラスのワームはみんな喪服の女性に擬態してるんです。
この喪服の一団ってのがたまらなくカッコいいというか、絵になるんですよ。相対する敵は必ず始末するという誓いのようでね。
ただ、多分擬態した時点からその人が喪服着てたわけじゃないと思うんですよ。葬式の場を狙ってワームが出てくるとかいくらなんでもあんまりだし。てことは、擬態してから喪服のコーディネートをどうするか考えてたことになるわけで。
どう思います?虫みたいな怪物同士があれこれ喪服選びでお互いに品評してる絵面。もちろんキャピキャピしたノリじゃないですよ。あいつら感情が薄いから淡々と

「イマイチだな」とか
「お前はスカートを履け、私とかぶる」とか
「似合っているだろうな」とか

そんな感じで多分コーディネートし合ったうえで仮面ライダーの前にやってくるんですよ。

途端におもしろキャラ度が増しますよね

matthew


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