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特撮ヴィラン語り ~その402 仮面ライダーゼイン~

東映特撮ファンクラブにて展開中の配信シリーズ「仮面ライダーアウトサイダーズ」。アウトサイダーというだけあって、歴代作品の敵役キャラクターたちにスポットを当てたクロスオーバー作品として先の読めないストーリーを繰り広げております。

「仮面ライダーW」にて初めて登場した謎の犯罪シンジケート:財団X
あらゆるライダー世界を跨ぎ様々なテクノロジーを違法に取り入れて来た彼らの新たな目的は、人類の善意を学習して突然ネットワーク上に発生した超高性能AI「ゼイン」の駆逐。
将来的に人類滅亡を招くとされるゼインの危険性を予期し、財団Xは歴代作品の敵キャラクター達を蘇らせ、強烈な悪意を集めた勢力:アウトサイダーズをぶつけようと目論みます。ところが一般的な善悪に囚われない価値観を持つ曲者揃いのアウトサイダーズは、各々が勝手な行動を繰り返すばかりで…というのがざっくりとしたアウトラインです。
そしてそこで遂に現れたのが、「ゼイン」の器として誕生した変身ベルト:ゼインドライバーによって変身する仮面ライダーゼイン。変身するのは何と「仮面ライダー電王」に登場し、力と引き換えに自らの存在が歴史から消えていくという悲劇のライダー:仮面ライダーゼロノスであった桜井侑斗だったのでした。

もうすでにバックボーンが重た過ぎて「善意とは?」と首を傾げますが

いやまあ自らを犠牲にしてでも誰かを守るというのは善意なんでしょうけどもね?

そんな仮面ライダーゼイン。純白のボディを縁取る金色のラインにマントと神々しい姿をしており、顔についてはその縁取りを見ると(^v^)という笑顔のアイコンを象っている遊び心も入った面白いデザインではありました。
そう、デザインはいいんです。普通にカッコいいし。しかしある描写が仮面ライダーシリーズのファンの賛否を大きく分けることになりました。

ゼインは歴代主役ライダーの最強形態の力を封じ込めたゼインカードというアイテムを使って必殺技を発動させます。考え得る中での最強火力をもって悪を容赦なく殲滅する、それ自体はすごく理にかなったコンセプトではあります。
問題はその使い方。ベルトにそのゼインカードを読み込んで「執行・ジャスティスオーダー」の電子音声と共に技が発動するんですが、読み込まれたカードはその後シュレッダーにかけられたようにバラバラになってしまうんです

「使い切り」じゃなく「使い潰し」ですよ最強形態の力を

歴代作品にて仮面ライダーたちが辿って来た過酷なバックボーンを無情に踏みにじる暴挙とも言うべきこの描写。
正義のためなら手段を選ばないという「善意の暴走」を体現したあまりにも皮肉の利いたやり方だなと感心したもんですが、一方で受け付けない層が生まれてしまうのもそりゃそうだなとも思っちゃって。
さらにはそんなゼインに変身するのが、自らの存在そのものを消費して仮面ライダーの力にして来た侑斗という最悪のベストマッチ加減。
この先のシリーズ展開で果たしてどこまでゼインの正義が暴走を加速させていくのか――面白いような怖いような、大変なことになりそうです。

matthew

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