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特撮ヴィラン語り ~その308 時空魔神エタルガー~

2013年の「ウルトラマンギンガ」から始まった通称「ニュージェネレーション」と呼ばれるウルトラシリーズも遂に10周年。ライダーや戦隊と違ってこれまで幾度となくシリーズの中断期間を挟んで来たウルトラシリーズが、10年連続で続くというのは実は初めてのことで。特ヲタとしてはまずそれだけでも相当感慨深いもんでした。
特にその最初の作品である「ギンガ」は過去シリーズのキャラクターを頻繁に登場させることで、シリーズの地続き感を前面に押し出しているのが特色。翌年の続編「ウルトラマンギンガS」でもその路線は継承され、劇場版では平成以降の歴代ウルトラ戦士と共演し合計で10人のウルトラマンが所狭しと大活躍するストーリーになりました。
その劇場版の敵となったのが、この時空魔神エタルガー。金色のボディに赤い仮面とマフラーをつけていますが、体はアシンメトリーで仮面の奥の素顔も割とグロテスク。金色と言っても神々しさよりは毒々しさが目立つ雰囲気とでも言いましょうか。カッコよさと悪さを兼ね備えたよい悪役です。

エタルガーは惑星ザントの王女アレーナを伴って地球に来訪、「ウルトラマンによって故郷を滅ぼされた」というアレーナに手を貸し、彼女が持つ魔鏡に歴代のウルトラマンを封印していきます。
しかし、実は惑星ザントを滅ぼしたのはエタルガー本人。そのうえでアレーナの記憶を操作し、ウルトラマンにその罪をなすりつける形で自分の操り人形にしてしまったのです。
エタルガーの最大の能力はまさにこの記憶に干渉する力。他人の記憶を操作するだけでなく、その記憶から強敵のイメージを実体化させたエタルダミーを生み出すといったことも出来、歴代ウルトラ戦士が苦戦してきた怪獣・宇宙人を呼び出してぶつけていきます。

さて、エタルガーがそんな回りくどい手口まで使ってウルトラ戦士を苦しめる理由は何なのか。
ただ正面から倒しに来るのではなく、姑息な罠を仕掛けたりトラウマを呼び起こしてビビらせたり、

何か手口がちょっと小物っぽい感じもしますが(こら)

その理由とは、動機とは――

謎です

え?

だから、謎なんです

はっきり明確な動機が、実は劇中で全然語られないんです。
いやだってめっちゃ手の込んだことしてるじゃないですか。普通に戦ってもまず強いのに、わざわざ洗脳したよその星の王女まで使って罠仕掛けたり、相手のトラウマ刺激して負かせてやろうなんて精神攻撃仕掛けたり、どう考えても嫌がらせじゃないですか。敢えてそこまでする必要ないはずなんですよ。そうするだけの具体的な動機がなきゃおかしいじゃないですか。
でも全然語られないの。何がきっかけなのか一切触れられないの。最後まで謎のまま戦いは進んでいき、決着の瞬間にウルトラマンギンガに変身する青年:礼堂ヒカルから、「お前が最も恐れているものは、ウルトラマンと人間の絆だ!」と突然に言われたと思いきや、

「何だとォ!?(図星突かれて動揺)」

とあっさり完落ち。いやビビっただけなんかい
せっかく劇場版の敵という非常にオイシイ立ち位置での登場だっただけに、何かここはもったいないなーって思っちゃいましたね。

matthew


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