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特撮ヴィラン語り ~その293 奇怪生命体マザーディーンツ~

「特撮」というのはそもそもヒーロー作品だけを指す言葉ではありません。
元々は「特殊撮影技術」というものの略称であり、通常の実写撮影に特殊メイクや着ぐるみ、ミニチュアなどといったものを加えたものを示す言葉でした。英語での呼び方はSFX。こちらの方が馴染みもあるでしょう。
そういったものの代表例とも言えるのが、ホラー作品。妖怪や怪物はまさにSFXで表現されるものです。ヒーローが登場しない特撮作品と言い換えてもいいかもしれません。

そんな風にホラーとヒーローは密接な関係を持つものですが、それ故かトラウマ級に怖い敵キャラというのも昔はよくあったものでした。
平成に入ってからのシリーズの中で恐らくその代表ではないかと言えるのが、「ウルトラマンガイア」に登場したマザーディーンツ。不法投棄された人工臓器に緑色の雨となった宇宙生物が取りついたことで誕生した生命体です。

もうスタートからホラー感がヤバい

その見た目はぶよぶよした肉塊のような姿をしており、全身に赤と青の血管のような模様が浮かんでいるという動くトラウマ
その上鳴き声はまるで女性の吐息のようで、その声におびき寄せられた人間に目から放つ光線を発射。光線を浴びた人間は肉体からあらゆる有機物を奪い取られ、眼球だけを残して生きたシミに変わってしまうという性質を持ちます。

この数行の中にどれだけの怖い要素ぶち込んでるんだって話ですよ

マザーディーンツは成長を果たすと、無限に口からディーンツを生み出して増殖。シミを取り込んだディーンツたちと再び一体化することでさらに成長を進めていき、やがては巨大な怪物に変貌してしまいます。
ウルトラマンガイアが対処のために現れるも、溶解液はウルトラマンにすらも有効で、足を溶かされたガイアは身動きが取れないままフルボッコになってしまいます。

やり口がいちいち視聴者への精神攻撃なんですが

しかし分析の結果、マザーディーンツの体のベースとなった人工臓器の循環器系統にシミの状態から人間を元に戻す効力があることが判明。
そのことを知ったガイアはマザーディーンツが振り回していた鉄塔の電撃をエネルギーに変換して足を復元。隙を突いたクロスカウンターの一撃で気絶させ、宇宙空間で撃破。爆発したマザーディーンツの循環器系から撒かれた成分によってシミの状態となっていた人々は元の姿に戻り、何とか事なきを得ることが出来ました。

しっかしビジュアルは最悪に気持ち悪いですこいつ。改めて振り返ると血管の浮き出たナメクジというか芋虫というか、まあそんな感じ。
そんなのが人間大のサイズでうようよ街を闊歩するとか想像もしたくないですよね。でもそんなのを土曜日の夕方にTVで見てたんですよ、当時の視聴者は。ホント泣いちゃいますよ耐性なかったら。てか俺は実際まともに見れませんでした。ホラー苦手なんで
今はやっぱりコンプライアンスとかの兼ね合いもあってなかなかそういう怖い話がやりづらくなったのかもしれませんが、個人的には安心して見れるのでちょっとだけ助かったなーとも思ったりします(苦笑)

matthew

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