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特撮ヴィラン語り ~その95 2体の改造ファンガイア~

「仮面ライダーは改造人間である」

もはや今さらのような定番フレーズですが、平成以降の仮面ライダーってその前提条件をガッツリ無視してる作品が多いんですよね。
でもその代わりに、主役以外のところで「改造人間」をイメージさせるような描写や設定が取り入れられたりもしてるんです。マッドな科学者が実験と称して怪人を生み出したり、捕まえた人間を怪人に変える誰かがいたりとかね。
特ヲタになるとどこにそういう旧来のエッセンスが入ってるのか、細かいところまでストーリーを深掘りしたりするもんなんですが(苦笑)

さて、「仮面ライダーキバ」の場合はどうなのか。
劇中で登場する怪人:ファンガイアはそもそも人間とは別の種族、いわゆるドラキュラのような吸血鬼の一族です。改造前からすでに化け物ですからね。
こちらではパターンとしては2つの形式が用いられました。

1:人間に捕まって実験台に使われる

ホースフライファンガイア(右)は、楓という大人しそうな女性の姿で人間社会に潜伏していました。しかしある日、ファンガイア対抗組織「素晴らしき青空の会」を追われた科学者:神田博士に捕まり実験台として利用されます。
他のファンガイアたちを襲ってそいつらの生命力を吸収し、ファンガイアがどこまで強力になるのかという実験。挙げ句はその「素晴らしき青空の会」が開発した仮面ライダーイクサにまで能力テストも兼ねて戦いを挑んだりもしました。
しかし実は、楓はわざと自分から捕まって実験を受けていたのです。自らが進化してファンガイアの頂点に立つという、とんでもない野心を秘めてたわけですね。

囚わーれーの美女と思ったらー、とーんーだ腹黒女でしたー
チックショーーーー!!(何故コウメ太夫)

最終的にその野心がバレたこと、そして同族殺しの処罰ということで、神田博士を殺害した後に楓はファンガイアの王たる仮面ライダーサガによって粛正されました。

2:人間がファンガイアと融合させられる

仮面ライダーサガ/登太牙は、幼少期に人間に育てられた過去を持っていました。その育ての親は、なんと皮肉にも「素晴らしき青空の会」会長の嶋護。
人間とファンガイアの共存を願って、ファンガイアの母である真夜から嶋に預けられた太牙でしたが、ファンガイアへの敵がい心を捨てきれなかった嶋は太牙を捨ててしまいます。その結果、人間はあくまでもファンガイアの餌に過ぎないと改めて認識した太牙はファンガイアの王となり、人間たちの支配という本来の使命に立ち返ります。
その一方で自分を捨てた嶋を許せなかった太牙は、敢えて話し合いと称して嶋を呼び出すと、彼を騙して自分の部下であるサンゲイザーファンガイア(左)と融合する実験台にしてしまいました。

そしたら嶋さんの自我が完全に残ってるんですよ
いやサンゲイザー本人の人格かわいそう過ぎねそれ?

果たして嶋さんがどんな選択をとったのか。
こちらはストーリーのクライマックスにも関わるので割愛します。

「仮面ライダーが改造人間」という設定はそもそも、「もし自分が普通の人間でなくなってしまったら?」という苦悩を描くためのバックボーンでした。その文脈自体は歴代作品の中でも形を変えながら脈々と受け継がれています。
そういったテーマを敢えて深掘りしながら見ていくと、また違った面白さに行き着けるかもしれませんよ?

matthew

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