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特撮ヴィラン語り ~その19 ホースオルフェノク/木場勇治~

平成仮面ライダー作品の中で一番好きなのは何と聞かれると、俺は2003年の「仮面ライダー555」を挙げます。
ライダーのデザインも必殺技も、ドラマも怪人も全てが大好きで全く非の打ち所がないんですよ個人的に。

中でも「怪人の側の物語もしっかり描く」というのが一番大好きになったポイント。
この作品に出てくる怪人:オルフェノクとは、一部の人間が一度死んだ後に生まれ変わって蘇生した存在。化け物になった自覚がないまま蘇ってしまって、訳もわからずとんでもない力を手にしてしまうわけです。
そのオルフェノク側の主人公が、この木場勇治。ホースオルフェノクです。

正直第1話見てたら主人公こっちじゃね?ってなりますよ

とにかくお人好しで穏やかな好青年の木場が、ある日交通事故に遭い死亡――したはずがオルフェノクとして蘇生したことで、彼の人生は一変します。
付き合っていた恋人は従兄弟に取られ、親の遺産も全て親戚に奪われ、文字通り全てを失ってしまった木場。その絶望からオルフェノクの力が目覚めた彼は、かつての恋人も、従兄弟もその手で殺してしまうわけです。

どうすればいいのかも分からないまま宛もなくさまよう中で、同じくオルフェノクとして蘇生した女子高生の長田結花/クレインオルフェノク、元ギタリスト志望の海堂直也/スネークオルフェノクと出会った木場は、人間と共存できる道を探して行動を共にするようになる……というのがオルフェノク側のストーリー。
これと対比するように、偶然ファイズに変身出来た青年の乾巧(本当の主人公はこっち)、ファイズのベルトを持っていた園田真理、道中で出会ったクリーニング屋の菊地啓太郎のトリオがライダー側の主軸として交流しながら物語が繰り広げられます。

正直、オルフェノクのデザイン全部好きなんですよ。
まるで彫像のようなスタイリッシュな姿。
火葬されて燃え尽きた後の灰をイメージさせるモノトーンの色彩。
もはや芸術だとさえ思ってます。
一体に絞るなんて出来ないよ本当なら。

ちょっと出てすぐやられる雑魚ですらカッコいいんだもんバカじゃねえの(誉め言葉です)

木場が変身するこのホースオルフェノクを見てくださいよ。
まるで西洋の騎士みたい。馬面だってもうペガサスとかユニコーンみたいな凛とした感じになってるし。そこでさりげなくデザインに入ってる蹄のマークね。胸はまあ堂々として分かるけど、手甲や剣の柄にもあるんですよ。

オシャレ過ぎん?

いざ戦えばまさに騎士のように剣を振るうだけでなく、下半身がケンタウロスのように変化して走る走る。仮面ライダーのバイクとチェイスするんですよ。カッコよすぎだろこれ。

いや本当にね、オルフェノクみんなオシャレなんですよ。
革ジャン着てたり、ガスマスク着けてたり、カウボーイハットかぶったり、ボンデージファッションしてたり。なんかこう……鎧というよりは服なんですよね。怪人が戦闘服着てるみたいな。
間違いなく特撮における怪人デザインの段階をまた一つ更新したパイオニアだと思ってます。本当これは語りたいの。

もう原画の画集ここにあったら全ページ丁寧にここはこうでとか多分丸一日かけて語るもんむしろ一日で終わるかなこれ

巧と木場、それぞれの側の主人公がお互いの正体を知らないまま交流を重ねていく複雑なドラマ。
そしてその果てに待つ結末。
是非とも「仮面ライダー555」、今からでも見て欲しいです。本当傑作ですよマジで。

matthew

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