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特撮ヴィラン語り ~その124 闇の皇帝ゼット~

通な特撮ヲタクになると、何となく作品の脚本を誰がメインでやってるかによって全体の作風を前もってある程度わかってしまうっていうのが割とあるあるなんですよ。
この脚本の人は鬱展開が好きとか、この脚本ってことは相当ギャグに振りきるだろうとかね。

2013年の「烈車戦隊トッキュウジャー」は、「仮面ライダー龍騎」、「仮面ライダー電王」や「未来戦隊タイムレンジャー」などを手掛けた小林靖子さんがメイン脚本を担当。
小林脚本の持ち味としては伏線を張りまくり、途中でストーリー自体を大きく揺るがす大どんでん返しが待ってるというのがあるんで、まぁそこにみんな身構えたわけですよ。
そこにも密接に絡んで来る一風変わった悪の親玉が、このゼット。戦隊シリーズだと幹部の誰かが唯一着ぐるみじゃなく顔出しというパターンが多いんですが、ラスボスだけが顔出しというのは多分「トッキュウジャー」くらいじゃないかなあ……そんな意味でも印象的でした。

お互いが幼なじみであること以外の全ての記憶を失った5人がトッキュウジャーに選ばれ、世界を闇に包むために路線を拡充する闇の烈車帝国シャドーラインと戦いながら、自らの過去や故郷を取り戻すために烈車で世界を旅するという不思議なストーリー。
ゼットはその皇帝でありながら俺様口調の乱暴な言動が特徴。深い闇の底に生まれながら、その中で一瞬だけ見つけた光のイメージに強い興味を覚え、「キラキラ」と称してその光を求めて行動を本格的に始めます。

俺様口調のイケメン皇帝って流行りの実写化ドラマでキュンキュンしそうなヤツなんですけどね
全然そんなことないからね

ゼットが属するシャドーラインは内部での勢力争いも密かに進んでいて、烈車により武力でのしあがろうとするシュバルツ将軍、知略で路線拡充を目指すネロ伯爵、娘のグリッタを皇帝に近づけてその威光を利用しようと企むノア夫人と思惑がバラバラ。
しかしグリッタ本人があまりにピュアな性格で、そこに自分が求めた「キラキラ」を見いだしたゼットは彼女に興味を抱きーー

あれ?なんかひと昔前の少女マンガみたいじゃね?
実は結構キュンキュンしそうなヤツじゃね?

ところが、なんとグリッタには呑み込んだ相手を自分の力に変える能力があって。まんまとノア夫人の企み通りにグリッタはゼットを吸収、同化してしまいます。
これでゼットの強大な闇の力を手に入れたグリッタが次なる女帝に君臨し、自らはその母として権威を欲しいままに出来るーー
と思いきや、ゼットの闇は強大過ぎてグリッタにも制御出来ず、逆にグリッタを乗っ取る形でゼットがパワーアップ。怪人の姿に進化を果たしてしまいます。

てかむしろ娘を人柱にするってどんな毒親だよノア夫人
少女マンガどころかドロドロの女性誌マンガじゃねえか展開が

底知れない闇の深さ故の、絶対的なゼットの支配。
こうしてノア夫人の計画は破綻し、反逆者のレッテルを貼られて一番扱いが悪くなるのですが、物語の先行きはいったんおいといてこのゼット怪人態のデザインがやっぱり最高なんですよ。
目、鼻、口、果てはオールバックの頭髪のようなデザインと人間的なシルエットをしていながらも、ほぼ真っ黒な悪魔のような不気味なディテール。しかし真っ白なロングコートを着こなすという、イケメン悪魔と呼ぶべき姿。
しかもまだ完全体ではなくて、パワーアップするごとに服の部分がなくなって完全な悪魔に変わり果てていくんですよ。完全体はデカイ翼が生えて、本当に悪魔そのものって感じ。

いや待てよ。
パワーアップするごとに服を着なくなる。
完全体は裸。
完全、つまり100%……

まさかアキラ100%……!?(違う、そうじゃない)

matthew

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