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特撮ヴィラン語り ~その228 ナスカ・ドーパント/園崎霧彦~

いつの時代も、カッコいいライバルキャラというのはそれだけで絵になるものです。
「仮面ライダーW」ではそのライバルポジションにあたるキャラが途中交代しながら立ちはだかって来ましたが、物語前半でのライバルを務めたのがこのナスカ・ドーパントでした。
ナスカの地上絵がデザインモチーフのこいつは、長いマフラーを風になびかせる青い騎士のようなイケメンの出で立ち。背中から発生させる光の翼と超高速移動で華麗に敵を翻弄し、手にした剣で斬りつけるというスピードタイプの戦士です。

ナスカの地上絵ってそんな意味あったかなと思いますがまあそこは気にしないでいきましょう、ロマンだよロマン(何)

そんなナスカ・ドーパントに変身するのは、劇中における悪の秘密結社「ミュージアム」傘下の会社、ディガルコーポレーションに務める闇のセールスマン:園咲霧彦。旧姓は「須藤」。
「ミュージアム」は風都という街の一大財閥:園咲家によって秘密裏に運営される組織。その長女である冴子が代表を務めるディガルコーポレーションは、人間を怪人:ドーパントに変えるガイアメモリを秘密裏に売りさばき、組織の資金源の確保+メモリの実用結果を提供するといった役割を担っていました。
その中で特に売り上げを伸ばして筆頭に立っていたのが霧彦。その手腕を認めた冴子は彼を婿養子に迎えることを決め、霧彦は晴れて組織中枢に関わる重要ポジションの地位を手に入れました。性格に惚れたのではない辺りもう報われない男のかほりがプンプンいたしますね。
その結婚の儀が邸内で執り行われた際には、家族全員がドーパントの姿で並び立つ前に

何故か霧彦全裸で登場
カメラに向かって生ケツを晒しております
これによりその後ネット上では「尻彦さん」というあだ名が付けられました何ということだ

その状態で「自慢の婿の誕生ですよ、お義父さん」とドヤる霧彦さんのハートの強さよ。

しかしこの霧彦さん、決して全面的な悪人ではないんです。確かにやってることは街の人々を犠牲にする非道なやり方ではあるんだけど、彼なりに「愛した街を自分たちが守る」という信念を持ってのこと。
元々彼はこの風都をこよなく愛する地元人で、子供時代には街のマスコットキャラクターのデザインコンテストで見事大賞を獲得。今やそのキャラは「ふうとくん」として街の人々に愛されています。
同じように街を愛する主人公の私立探偵:左翔太郎とも想いは通じ合っていたものの、道を違えて対峙する姿。まさにライバルの風格たっぷりですね。

でも尻彦というネタ要素が強すぎる

しかもさらにかわいそうなのが、婿に入ったが故の尻に敷かれっぷり。
元々愛情ではなくただ手腕だけを買われての結婚なので、失敗すれば普通に上司である冴子からは冷たくあしらわれ、挙句「役立たず!」と言われお仕置きまで喰らう始末。義理の妹で街のアイドルである若菜にも「チッ」と舌打ちされるわ睨まれるわ、まあ家の中の肩身が狭すぎる。婿入り先これでよかったの?

やがて、ミュージアムが街の子供たちにまでガイアメモリの魔の手を伸ばしていることを知ってしまった霧彦は、その非道さについていけず遂に離反を決意。ある女子高生が変化したドーパントを救うために翔太郎たちに協力し、見事に彼女を元の姿に戻します。
それを知った冴子は、自らを連れて街から出ようとした霧彦を非情にも裏切り、タブー・ドーパントとなって躊躇わずに処刑。霧彦の遺体はチリとなって跡形もなく消えてしまうのでした――

と、まあライバルに相応しい哀愁ある最期を迎えた霧彦でしたが。そのネタっぷり&魅力的な造形から人気が爆発。後に映画公開時のキャンペーン番組では華麗なる再登場を果たしたり、番組キャストのトークショーイベントでもサプライズ出演するなど、ファン人気に支えられて恵まれた地位を獲得しました。
が、そのたびにかつての組織の仲間からはボッコボコに痛めつけられ、トークショーイベントでもしれっとシカトされたり無茶ぶりをされたりと、残念なイケメンキャラとして徹底的にいじられる顛末。
何でしょうね。本当に黙ってればすっごくカッコいいキャラだし、普通にイケメンとしてキャーキャー言われてもいいはずなんですけど、何故か登場するたびに笑いしか起きないんですよ尻彦さん(それだよ原因)。

自慢の婿ってそういうことじゃないと思うんよ…
全国のお婿さんの希望の星(中の人曰く)ってそういうことじゃないと思うんよ…

matthew

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