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特撮ヴィラン語り ~その76 救星主のブラジラ~

平成後期以降の戦隊シリーズって、趣味や好き嫌いといった割とどうでも良さそうな細かい設定が敵キャラに割り振られてる作品がすごく多いんですよね。スタッフの方曰く「敵キャラも愛される作品にしたい」ということだそうで。
なるほど確かに、いかつい見た目してるやつが実は面白い趣味嗜好をしてたらそれだけで十分楽しいと思います。いわゆるギャップ萌えってやつですかね。

全然萌える見た目じゃねぇけどなこいつら!

ただその中でも「それはちょっと…」って奴はいたんです。それが2010年に放送されていた「天装戦隊ゴセイジャー」におけるラスボスとなったこのブラジラ。

「ゴセイジャー」は地球を守る使命を受けた護星界の使者「護星天使」が人間世界に降り立ち、ゴセイジャーとなって悪と戦うストーリーなんですが、珍しい特色として敵勢力が劇中で何度も入れ替わるというギミックがあるんです。主に3つの勢力が劇中では登場したんですが、なんとブラジラはその全てに本来の姿を隠して潜伏。1年を通してそれらの勢力を巧みに利用しながら、ゴセイジャーの敵として立ちはだかってきた巨悪なのです。

最初に登場したのは地球侵略をもくろむ宇宙人集団ウォースター。
ブラジラは「彗星のブレドラン」という仮の姿で作戦参謀役を務めましたが、何故かその時点からゴセイジャーの弱点を知り尽くしているかのような素振りを見せる謎の一面を発揮していました。
ウォースターが壊滅すると、今度は先代の護星天使が封印した古代の魔物「幽魔獣」が復活。その幹部の一人として、何故か幽魔獣の姿に変わったブラジラが「チュパカブラの武レドラン」としてしれっと混ざっています。

何だその変わり身の早さは

この時もやっぱりゴセイジャーの戦力のことを色々と知っていたり怪しい素振りがあったんですが、味方からもあまりに詳しすぎる知識に対して疑いをもたれてて。後に完全に裏切られます。

この幽魔獣たちが壊滅した後に登場したのは、機械化技術を発展させて現代に復活した海底文明マトリンティス。
幽魔獣たちに裏切られて瀕死の重傷を負った状態から回収された武レドランは、このマトリンティスの技術により改造手術を受け「サイボーグのブレドRUN」として三度ゴセイジャーの前に登場。手術の影響からか今までの記憶を失って忠実なマトリンティスのしもべとして戦っていたんですが、やがてかつての記憶を取り戻すと幹部たちをその手で仕留めてしまいます。

次々と敵勢力の様々な技術・力を会得してきたブラジラ。
その正体はなんと先代護星天使の裏切り者で、自らを救星主と称して地球を破壊し新たな惑星を創造しようと企みました。
まあそこまで来たらこいつ清々しいほどのド外道ですよね。悪の中の悪というか、最後の敵にふさわしい邪悪な存在だと思うんです。
そこで冒頭で話題に挙げたコイツの趣味ですよ。やっぱここまで来たらそういう邪悪な作戦を練ったり、人を裏切ったりするのが趣味っていうどこまでも外道な性格してるんだろうなぁと思ったら

「趣味:コスプレ」
えっ?(目をゴシゴシして二度見)
「 趣 味 : コ ス プ レ 」

お前の潜入作戦全部そっちの趣味だったんかい!!

そういやこいつ、毎年恒例だった戦隊同士の競演作品「天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピックon銀幕」では、シンケンジャーの敵であった外道衆の生き残りたちを率いて「血祭のブレドラン」という姿で登場してるんです。この姿はかつて外道衆のトップだった血祭ドウコクの姿を真似たものだそうで。
てことはさ、外道衆の生き残り連中はコスプレオタクの妄言に利用されて蜂起したってことになるじゃないですか。

違う意味で酷いやつだなブラジラお前

絶対萌えないギャップ萌えの悪役キャラ・ブラジラ。
まさかのコスプレ趣味を1年間最大限に活用しまくり、趣味と実益を兼ねてしまった天使様。

…そりゃ追放されるよ護星界から

matthew

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