特撮ヴィラン語り ～その21 臨獣殿の闘士たち～

今回紹介するのは、2007年に放送された「獣拳戦隊ゲキレンジャー」のキャラクター。
戦隊シリーズの中でもトップクラスに人気の高い敵キャラである、理央とメレの2人です。

結構戦隊シリーズって、フォーマットが決まってるようでだいぶ冒険してるなという作品が何年かに一度ちょくちょくあるんですよ。
「ゲキレンジャー」が冒険してるポイントがまさにこの敵側で。戦隊メンバーと同じように若手キャストを揃えてドラマを組み立てたわけです。

ストーリー的には、動物の力を宿した2つの拳法が善悪に分かれて戦うというカンフーアクションをテーマにした物語。
理央とメレは、ゲキレンジャーが使う激獣拳ビーストアーツと対立する臨獣拳アクガタの使い手。いわゆるボスキャラではありますが、同時に二人もそのアクガタ内で修行を積んで強くなっていくというちょっと異色な悪役です。

悪役が修行ってさ。フリーザやセルがドラゴンボールで修行したかって話ですよ

理央はアクガタの中では最強の闘士であるものの、それに甘んじず強さを求めるストイックな青年。
元々はビーストアーツの闘士だったものの力を求めすぎた結果自らアクガタに入門してトップに登り詰めた使い手です。
戦いにおいては、さながら悪の戦隊ヒーローのような黒獅子リオという姿に変身可能。ここからもゲキレンジャーと理央たちが同列に描かれているのが分かります。

そしてメレは、実質的には理央の側近のような存在。
臨獣拳アクガタの闘士は、理央以外はみんな死んだ闘士が蘇って使い手になった存在なんですが、メレはそうして蘇った後から理央の強さに惚れこみ、自ら彼に従うことを決めた女闘士です。

てかもうベタ惚れなんだけどね

もうただの恋する乙女なんだもん。「理央様ぁ～(はあと)」って感じでとにかくアピールがすごいのなんの。でも理央は強さにしか興味がないから、全然クールで素っ気なくて振り向いてくれない。しかしそれもまたイイとなおさら惚れまくる。まるでメレが主人公の少女漫画みたいな関係性で。
しかもまた二人が美男美女なもんだから。

ゲキレンジャーよりも人気出ちゃったよっていうねこれ

なんかもうね、メレを見てたらめちゃくちゃ応援したくなるんですよ。
理央はゲキレッドとのライバル関係で盛り上がっていくんだけど、メレはそれを見守る立場で。理央は負けないと信じながらも、もしかしたら負けるかもしれないというのもあるから、すごく身を案じてるんですよ。

いやそれもう完全にヒロインよりヒロインじゃん。

しかも終盤では別の勢力が現れて、そいつらにさらわれちゃって理央を誘き出す人質に使われて。

だからヒロインじゃんあんたもう！！

戦隊シリーズ作品の中でも、後年は悪役というよりも別戦隊のヒーローのような扱いを受けるにまで至った二人。
それもまた異色な経歴といえますが、ゲキレンジャーの中で二人だけにスポットを当てて見返してみるとすごくドラマチックなラブストーリーとして楽しめるかもですね。

matthew