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特撮ヴィラン語り ~その322 ガラスの靴の王子~

女子の憧れ、シンデレラ。
ガラスの靴や魔法使い、王子様との短い時間のロマンスなど色々とロマンチックな要素は多いですが、そんなシンデレラのエピソードを徹底的に闇に振り切ってしまったらどうなると思います?
一昔前に、童話をホラーにアレンジするのが流行りみたいな時期があったじゃないですか。本当は怖い童話みたいなヤツとか。今回はアレとはまたちょっと違うベクトルのお話です。

それは「轟轟戦隊ボウケンジャー」内のあるエピソード。
ボウケンジャーの面々が所属するサージェス財団は、世界各地に眠る不思議な財宝:プレシャスを保護・管理することを目的とする組織ですが、時にその力が危険と判断すれば破壊・封印すると言ったこともあります。
ある日、ガラスの靴を履いた女性が深夜に何故か踊り狂った後に意識を失い倒れるという怪事件が発生。そのガラスの靴を持ち去る黒服の女性の目撃情報から、サージェス財団は童話「シンデレラ」に登場するガラスの靴がプレシャスとして実在する可能性を知ります。早速ボウケンジャーがその回収に乗り出しますが、何と副リーダーでもあるボウケンピンク/西堀さくらがそのガラスの靴を黒服の女性:クロリンダに履かされて昏倒してしまいます。

さくらが目を覚ますと、そこは豪勢な城の中。
美しいドレスをいつの間にか身に纏っていたさくらは、突然現れた素敵な王子と共に舞踏会で夢のひと時を過ごすのですが――実はこれがこのガラスの靴の能力。
このガラスの靴はある怪物が化けたものであり、靴を履いた女性の魂を奪って幻想を見せ、その命を奪うという危険な存在だったのです。そして怪物は何と幻の世界で王子のふりをしてターゲットに接近する習性を持っていたのでした。

すげぇ、この怪物ガラスの靴なのに女子の夢を土足で踏みにじって来たぞおい

正気を取り戻したさくらは、実はシンデレラの姉で王子と結ばれた彼女に嫉妬していたクロリンダを説得。シンデレラもまた怪物の餌食になっていたことをそこで知ります。
全女子の夢を台無しにしたガラスの靴の王子に対してさくらの怒りは大爆発、幻の世界をクロリンダと共に破壊すると、怪物は遂にその正体を現します。ガラスの靴が体から生えて、顔面をピンヒールで貫かれたようなおぞましい姿。グロカッコいいです。
しかし本性を現した王子は、そんな見た目で見境なく気に入った女性たちに「僕のシンデレラ…」とうっとりするような声で呼びかけるわ、巨大化するとボウケンジャーの巨大ロボ:ダイボウケンにキスを迫ってそのエネルギーを奪いにかかる始末

やべぇこの王子本性現わしたらやりたい放題だ

ブチギレたボウケンピンクは合体フォーメーションを組み替え、自分が操るマシンでジェット水流に乗って体当たりするという荒業を繰り出し、ガラスの靴の呪いを木っ端微塵に打ち砕いたのでした。
童話にちなんだ作品は数あれど、なかなかガラスの靴自体を悪者にした作品って少ないんじゃないでしょうか。面白いエピソードだったと思いますね。

matthew

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