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特撮ヴィラン語り ~その23 腑破十臓~

特撮ヒーロー番組が若手俳優の登竜門といわれてだいぶ経ちましたが、代表格の一人といえば松坂桃李さん。
2009年の「侍戦隊シンケンジャー」でシンケンレッドを演じたのがデビューでした。

侍モチーフで、顔に漢字をあしらった大胆なコンセプト。

もう外国人からみた勘違い日本史全開です

三途の川から人間界を絶望と悲鳴で満たそうと迫る、外道衆という妖怪一派を相手に戦うストーリーなんですが、まぁこれが意外と深い話なんですよね。
松坂さん演じるシンケンレッド/志波丈瑠が一応は「殿」という名目で、時代錯誤ながらに代々家臣を務めてきた家系の末裔と一緒に行動するんですが、どうも他のメンバーとの間に壁を作りがちで多くを語らないよそよそしいタイプ。それ自体が大きな伏線として機能するんですが(敢えて語りません)、
そのライバルとして立ちはだかるのがこの腑破十臓。外道衆ではあるものの、人間界への侵略よりも強い相手との斬り合いを好む戦闘狂です。

演じるのは唐橋充さん。
水野美紀さんと結婚されて一時期話題になりましたが、特撮作品の常連でもあり、ウルトラ、仮面ライダー、戦隊の3シリーズに全て参加しています。
役所としては、

・スネークオルフェノク/海堂直也(仮面ライダー555)
・キール星人グランデ(ウルトラギャラクシー 大怪獣バトルNEO)
・腑破十臓(侍戦隊シンケンジャー)

ヒーロー一度もやってねえ

まぁでも唐橋さんクセが強い役ホント上手いからなあ……やって欲しくはない←

話を戻しますが、十臓は裏正という逆刃の妖刀を武器にしています。刀の柄がドクロってのがオシャレでカッコいいんだこれ。武器ひとつとってもデザインが凝ってるのが素晴らしい。
白い体に血のような赤いガラスをちりばめたデザインは、妖怪の猩々がモチーフらしいです。

逆刃刀っていってもるろうに剣心みたいな殺さないタイプじゃないけどねこいつ

外道衆のなかでも、十臓は特殊な出自の個体。元々は人間だったはずが、怨恨などから外道に落ちたはぐれ外道衆です。
本来外道衆は元締めである血祭ドウコクの力で行動を縛られ、勝手な行動を許されてはいないんですが、はぐれ外道衆は半分人間なので、完全には行動を制限されません。それゆえドウコクには刃向かわないものの、気ままに人間界で活動できます。
その中でシンケンレッドの強さを目にして、斬り合いの標的として強く執着するようになるんですが。

なぜ十臓が外道に落ちたのか。
元々強い剣士だった十臓は、不治の死の病に冒されながらもただひたすらに剣の道を極めんと人を斬り続けてきました。
妻は彼の身を案じて止めようとしたものの、自らその妻を斬り捨てた十臓はそこで外道衆の一員に。
その後、筋殻アクマロから裏正を与えられて自らの愛刀とし、人斬りを続けるんですが……

実はこの裏正、皮肉にも十臓の妻の魂からアクマロが作った刀。
しかもそれがわかってた上で十臓も人斬りをしたわけです。

なんだこの稲川淳二さんが語りそうなやつ

ただひたすらに血を求める狂った剣士とシンケンレッドの最終決戦は、30分の放送枠の大半を占める壮絶な斬り合い。
アクションとしても見ごたえがあるし、松坂桃李さん、唐橋充さんの熱演もとにかくすごい。
是非とも一度見入っていただきたいですね。

matthew

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