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特撮ヴィラン語り ~その289 ディスパイダー~

昨今では特撮番組の中でCGが使われることも随分と当たり前になりましたが、それでも多分見る人はきっと驚いただろうと思うのが、実写のキャラクターとCGのキャラクターが一緒の画面で戦闘するという描写。
合成技術はどんどん進化するばかりで、これ本当にCGかって疑いたくなるところも最近は結構増えて来たと思うんですよね。

多分そのはしりになったと言えるのが、2002年の「仮面ライダー龍騎」。この作品に登場する仮面ライダーたちはミラーモンスターという鏡の中の怪物と契約してその力を行使し戦いますが、このモンスターというのが人型ばかりじゃないんです。
主人公である仮面ライダー龍騎が契約するのはドラゴン型のモンスター:ドラグレッダー。真っ赤なボディをくねらせて空を泳ぐ巨大な龍です。
そしてライバルであり準主役といえる仮面ライダーナイトはコウモリ型のモンスター:ダークウィングと契約。マントに変形したダークウィングが背中に合体すれば空も飛べます。
そして第1話、第2話で彼らが戦った敵ミラーモンスターもCGキャラ。巨大な蜘蛛の姿をしたディスパイダーです。

人間よりデカい蜘蛛とかバイオハザードも真っ青のキモさですよ

ミラーモンスターは鏡の中に生息し、そこから人間を襲って捕食する習性を持ちます。ディスパイダーは蜘蛛だけに鏡の中から糸を伸ばして人間を捕らえ、自らの巣に取り込んで捕食するのが常套手段。
その巣を特定したナイトが戦いを挑み、見事必殺技を喰らわせて撃退に成功しました。
しかしディスパイダーは何とこれだけでは死なず。ぶち抜かれたその頭部からは人間の上半身のような新たな体が形成され、ディスパイダー・リボーンとして強化復活を遂げてしまいます。
そう。このディスパイダー・リボーンは上半身のみが実写の着ぐるみ、下半身はCGというハイブリッドでデザインされたキャラなのです

文明開化の波が特撮に来た瞬間でございますよ!(クリーチャー好きが興奮しております少々お待ちください)

いやーこれはもう一発でハートをぶち抜かれましたね。CGと実写のキャラがバチバチに戦闘するだけでも斬新な映像だったのに、1キャラの中にその両方が同居するってんだからもうね。最初からクライマックスもいいところですよ。
そのディスパイダー・リボーンを倒すのが龍騎の初陣。ドラグレッダーと共に上空高く舞い上がって、吐き出された灼熱の炎を纏って放つドラゴンライダーキックが巨大蜘蛛を打ち砕く!

日曜朝から派手過ぎですよ東映さん!!

これが21世紀の特撮のスタンダードだ、とでも言わんばかりの映像革命。
実際この頃から3DCGが本格的に特撮の中にも取り入れられるようになり、戦隊シリーズでは巨大ロボの合体がミニチュアではなくCGで描かれたり、ウルトラシリーズでも防衛隊の飛行マシンがCGになったりと実写風景に違和感なく同化する場面が増えるようになりました。
そういった意味でも、このディスパイダーは偉大な功績の一つと言えるのではないでしょうか。

matthew

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