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特撮ヴィラン語り ~その181 バットファンガイア/キング~

昼ドラのような複雑な恋愛ドラマが展開された「仮面ライダーキバ」。
親子二世代のドラマを並行して描くギミックもあって割と初見の方にもおすすめが難しい部分はあるんですが、逆に特撮ファンから見てもそういう斬新な作劇って新鮮で面白いんじゃないかと思うんですよね。

そんなわけで「キバ」におけるラストバトルも、過去のストーリーと現代のストーリーで別々に描かれました。
過去編の主人公はバイオリニスト:紅音也。偶然からファンガイアとの戦いに身を投じることになった彼は、戦いの日々のさなかで音楽を愛するファンガイアの女王:真夜と出会い、種族を超えた禁断の恋に落ちます。

……日曜朝から不倫ドラマ描いちゃっていいのか?

もちろん、許されるわけがない。ましてや女王ってことは、旦那はもちろんファンガイアの王:キング。敵である人間と恋に落ちるとか、もう地雷踏みまくりの超危険行為です。
他種族を滅ぼしファンガイアによる支配を拡大させようとしていたキングは事態を知ると、音也への猛攻を開始。歴代のファンガイアの王に受け継がれてきた力で仮面ライダーダークキバに変身し、音也が変身する仮面ライダーイクサをボロカスに圧倒。
さらに、裏切った真夜への制裁として彼女からファンガイアの力を強奪。ただの人間同然に変えてしまいます。
ところがこれがまずかった。ダークキバへの変身能力を授ける相棒のコウモリ型生物:キバットバット2世は真夜とも非常に仲がよかったため、真夜を傷つけたキングに愛想をつかして離反。よりによって、真夜を守ろうと戦う音也の側について彼にダークキバの力を与えることになってしまいました。

奥さんだけでなく相棒まで奪われたキングの不憫さよ

怒り狂うキングは本来の姿であるバットファンガイアへ変身。ダークキバの力があれば大体何とか出来てたのでこの姿を晒すこともほとんどなかっただけに屈辱感がハンパねえ。
人間の身でダークキバに変身してしまい、強大な力と引き換えに命が削られていく音也相手に容赦なく攻撃を仕掛けます。

と、そこに2008年の現代からやってきた音也の息子である紅渡が乱入。
音也と真夜の間に生まれたハーフファンガイアの彼が受け継いだキバの力で、父を助けるべくキングに立ち向かいます。
音也も息子を死なせないため、そして真夜を守り未来を守るため文字通り命をかけてダークキバに変身し、壮絶な戦いの果てにキングは敗北しました。

あれ?キング悪いことしたかな?
いやまあ人類滅ぼしに来てるんだから悪は悪だけどさ、
不倫されて怒るのは割と当たり前じゃね?

しかしまあこのバットファンガイア、カッコいいデザインしてますよマジで。
一般的なドラキュラのイメージに相応しい要素を盛り込みつつ、真っ赤なコートが実にワイルド。さらには襟元にさりげなく鳥の骨が隠しモチーフに仕込まれるアクセントもオシャレ。
オールバックの前髪に見立てたコウモリの羽根も最高っす。うん、大好き。
変身前のキングの姿も、なんかもう古きよきビジュアル系の方というか、YOSHIKIさん辺りこんなコスチューム着てたよねって感じで超カッコいいんです。美中年。
だからこそ余計に不憫なんですよね……奥さんは寝取られ、相棒に裏切られ、地位も力も剥奪された挙げ句命まで失う始末。
しかも渡が現代に戻った後のラストバトルでは、かつての部下だったビショップに無理やり復活させられ、自我を失った暴走状態で戦わされるわけです。
それも、ビショップが反逆して敵対した、真夜との間に生まれた息子である登大河までも敵に回して。

こんな不憫なラスボスいます!?(涙)

ホント敵ながら哀れ過ぎて泣けますよこりゃあ……

matthew

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