アンゴラで強盗被害にあった話。

アンゴラに来てあと少しで半年。
あっという間なような、もうずいぶん長いことここにいるような・・・不思議な感覚。

今日のお話は、ちょっと話すべきかどうか悩んだけど、私の暮らしのリアルを伝えたいという思いと海外で暮らすみんなへの注意喚起の気持ちも込めて、最近自分に起きた出来事を赤裸々に書き綴っていこうと思う。


それはモザンビークからの旅行帰りに起きた。

1週間の休暇をとって私の心のふるさとでもあるモザンビークに遊びに行っていた。
ビザが取れていなかったり、航空券の名前を入力間違えしたりで、直前まで本当にいけるかどうか危ぶまれていたけど、誰に何を聞かれることもなく非常にスムーズに旅はスタートした。

モザンビークはやっぱり最高だった。約9か月ぶりに任地にも行ったけど、知り合いにすれ違えばまるで昨日までいたかのように、「おーマイコ!どこいってたんだー」と話しかけてくれた。
そしてこの美しい景色をどうか壊さないでほしいと切に願ったりもした。

元任地マニッサの景色


一方で、自分がモザンビークを愛してやまない理由はたとえば「ご飯が美味しい」とか「ビーチが綺麗」とかたくさんあるけれど、結局のところ大好きな人たちがいる場所であるからに尽きるなと感じたりもした。

会ってすぐ犬を巡って喧嘩をしたり、予定なんて話し合わなくてもお互い好きな時間を過ごせるところとか、一切気を遣わない関係性が本当に居心地がいいのだ。
価値観は全然違うのにシンクロするかのように相手の気持ちがわかる、もはや家族のような存在がモザンビークにいる限り私はきっとこれからもずっと時間ができればモザンビークに帰るんだろうと思う。

だから、今回の別れは不思議と全然寂しくなかった。
前回は涙そうそうの絶望に打ちひしがれるような別れだったけど、今回は「また会える」という確信にも近い希望があった。みんな同じ気持ちだったと思う。ニコニコしながらまたね!とお別れできることがなんだかとても嬉しかった。


そんなこんなでモザンビークで身も心もフルチャージして、満足感に包まれながら飛行機に搭乗した。
モザンビーク→アンゴラ便がちょうど東ティモール大統領と同じ便だったので搭乗時のVIP対応を目の当たりにすることもでき、気付いたら数日間あまり寝ていなかったので離陸の前に爆睡していた。

アンゴラにはあっという間に着いた。
到着ロビーを出てタクシーをアプリで呼ぶ。中国車と韓国車だらけど空港駐車場を見て「あーアンゴラに帰ってきたな」と感じた。
このときすでに夜の7時頃。一台目は待てどくらせど全然来ない。電話をすると警察に止められているようだった。アンゴラでは良くある話だ。キャンセルして二台目を待つ。到着ロビー前の駐車場は有料なので出発ロビーの方まで来てほしいと言われる。仕方なく100メートルくらいの距離をスーツケースを引いて歩いて到着ロビーへ向かった。(おそらくここで犯人に目をつけられて追跡された可能性あり)

タクシーの運転手は非常に感じが良く少しおしゃべりしながら家まで10分もかからず到着した。
アンゴラの空港が意外と綺麗だったり、入国が圧倒的にスムーズだったりで、帰り道は街並みを見ながら「まあアンゴラも悪いところばかりではない。気持ちを切り替えてまた頑張っていこう!」と非常に前向きに気持ちを入れなおしていた。

私の住んでいるマンションは一階が銀行になっており、家の目の前はすでに車でいっぱいで駐車スペースがなかったため、道路を挟んだ少し先に駐車をしてもらった。時間は7時半頃。辺りは暗かった。

お会計を済ませ、タクシーの運転手には「家の前までスーツケース持って行こうか?」と声をかけてくれたけど、家はすぐ目の前、横断歩道を渡った目と鼻の先だったので「大丈夫」と断って一人でスーツケースを引いて横断歩道を渡った。

あと1メートルくらいで横断歩道を渡り切るタイミングで突然右手からものすごい速度の二人乗りバイクが走ってきて自分の目の前を通過。不可解に思いつつ、歩道にあがったタイミングで男性に突然ショルダーバッグをつかまれた。スーツケースの他に貴重品を全部収納していた、日本の親友からもらったNorth faceのショルダーバッグを肩にかけていた。
男は手に25CMくらいの長いナイフを持ちながら「それを渡せ!」と脅迫してきたので、驚いてさっとバッグを渡すと、男はさきほどのバイクの後部座席にすかさず乗り込み、あっという間に反対方向へと消えていった。


あまりにも一瞬のことで状況把握ができるまで少し時間がかかった。「あ、やられた」と気付いたときには地元の野次馬たちが集まってきていた。
バッグの中にはありとあらゆる貴重品が入っていた(携帯2台・パスポート・モザンビークにあと五回は行けるくらいのドル現金などなど)。体の震えとは相反して顔面から血の気が引くのを感じた。
「おわった・・・」

野次馬の一人がバイクで犯人の後を追ってくれたけど時既に遅しだった。
家の鍵も取られてしまったので、すぐ近所に住んでいた同僚のお家に行って助けを求め、事務所に報告。
そこからは同僚のみんなに助けられながら警察に行って被害届けを出し、また大家さんから合鍵をもらって家には入ることができた。それ以来何から何までサポートしてくれた同僚には感謝してもしきれない。


事件発生からちょうど1週間が経つが、失くしたものが大きく、この1週間は本当に警察やら色んな手続き関係に追われる怒涛の1週間だった。
新しく携帯を購入し、少しずつ元の生活に戻ってきたと同時に、心も大分回復してきた。ようやく落ち着いて当時のことを振り返ることができるようになった(数日は思い出したくもなかった)。

この日はたまたま銀行前に警備員がおらず、マンションの警備員も距離が離れていたため気付くことができなかった。また日曜夜のタイミングで人通りがほとんどなかった。
たまたま一瞬の隙をつかれたように思えるけど、今思えばいつ起きてもおかしくはないことだったように感じている。

これまで運の良さを自負していただけあって、まさかこんなことが自分に起きるとは到底思っていなかったけど、今日もどこかでまた別の誰かが狙われているはず。それが今回一瞬の隙を見せた自分に起きてしまっただけ。


確かにbad luckであることは間違いないけど(厄年だし‥)、幸い自分の身には何も起こらなかったわけだし、もう少し意識していれば防げたことだと思うと、むしろ今後最悪なケースを免れるための非常に大事なレッスンだったと思っている。たくさんの方に迷惑と心配をかけてしまったけど、今回の教訓は必ずや今後の人生に活きるはず。


海外で暮らすみなさん。
脅すわけではなけれど、本当に犯罪はあらゆるところに潜んでいます。
自分への戒めも込めて、過信は絶対にダメ。
私が言うのだから間違いない(笑)

もう治安の悪い国に住んでる方なんて、5メートルの距離でも夜間は歩くのやめましょう。


命と健康な身体があれば失ったものはいつでも取返せる。
ただでさえ大変なアンゴラ暮らし、またモチベーションが急降下しそうになるけど、そういうリスクも覚悟した上で自分はこの道を選んだことを忘れず、気持ちをすっかり切り替えて失ったものを取り返すためまた明日から仕事頑張ります!


これからのアンゴラ暮らし、さらに気を引き締めつつ、もっともっと楽しいことがたくさん起こりますように。
引き続きアンゴラの魅力さがしに勤しみます・・・









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