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「東京観光日誌」#19|池袋|東京芸術劇場

2月6日(水)晴れのち曇り。池袋はときどき訪れる街だが、それでも1年ぶりぐらいになる。最後に来たのは・・noteの初投稿の記事以来か。
地下の改札で降りるといつも一瞬迷う。
ここは東と西が入り乱れているのだ。
「えーと、東武があるのが西口で、西武があるのが東口」と言い聞かせる。

・ 東京芸術劇場へ

本日の訪問先は「東京芸術劇場」なので、西口に向かって出口3から地上へ上がった(写真下)。ドンピシャ。

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目の前の広場の先に東京芸術劇場がある(写真上)。
ここも随分変わったな・・普段いかに出歩かないか思い知らされる。
こんなふうに記事を書いていない時は、通勤の風景だけだったもんな・・何だか今まで損した気分になる。
ちなみに案内地図で見るとこんな感じ(写真下)。

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昔、2度ばかりここに劇を観に来たが、昼間改めて見ると結構特徴的な建物だということに気付かされる(写真上)。
今日はここで行っている「劇場ツアー」の参加に申し込んでいる。館内の案内ツアーというのはあまり他では見かけないが、結構こういう趣向もビジネスとして有りだ。おかげで大手を振って館内をスタッフの案内で回ることができる。どんなところを見せてもらえるのだろう。

「こんな寒い中、頑張るな・・」とストリートパフォーマを横目で見ながら建物先端部分の入口へと入る(写真下)。

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中に入ると・・ここはアトリウムという空間だ(写真上)。トラス状に組まれたパイプ越しのガラス屋根から、外光が降り注ぐであろう明るい空間、吹き抜けの高い天井、広々としていて気持ちがいい。
13:00開始のツアーは15分前から受付が始まることになっている。
「只今12:35」なので10分ぐらい余裕がある・・。
やはり右横のエスカレータに乗りたくなってしまった。何か滑り台みたいだ・・少しふらつこう。

最初のエスカレータで上がって2階。プレイハウス(演劇やミュージカル等の専用シアター)に通じる通りから一枚(写真下)、カシャ。

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振り向くとそこには佐藤忠良作「マーメイド」のブロンズ像がおもむろに設置されていた。バランスを崩した裸婦像・・何かにおののいているのかな? よく見ると足がヒレになっている。人魚(マーメイド)だとすると・・陽の光?・・それとも私と同じ高所恐怖症?

さらに上へ行ってみよう。2階から・・あれ5階? すごく長くて高いエスカレータ(写真下)。だんだん空気が薄く感じてきた・・。

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よし、登頂。長い時間眺めていたくない光景だが・・見晴らしはいい(写真上)。では、お手洗いを済ませて受付に行こう。

・ 劇場ツアー(外観)

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1階へ戻るとすでに受付は始まっていた(写真上)。当日券もあるようだ。
事前に予約してあったので名前を告げて参加料(500円)を支払う。ツアーに関する資料とチラシが入ったクリアファイル、それと片耳に掛ける音声ガイド用レシーバが渡された(写真下)。

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近くの集合場所にはイヤホンの使用方法が掲げられていた(写真上)。なるほど、これはスマートだ。
開始前にガイドさんらしき人が来て、
「皆さん。約1時間の「劇場ツアー」なりま~す。途中お手洗いの時間は設けませので、必要な方は今済ませておいてください」と呼びかけられる。
そうそう、行っておいて良かった。今日は冷える。

今回参加するメンバーが次第に集まって来て、いよいよツアー開始となる(写真下)。

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改めてガイドさんから挨拶があり注意事項等の説明があった。一応写真撮影はどこでもOKということだ。SNSやブログは大歓迎だという。ただし人の写り込みは気を付けるようにということである。しかし、人はどうしても入ってしまうもの・・特定できないように写すことにしようか。(後から撮り直したものも多かった。)

参加者は18名。まずは建物の外観からの案内で、東京芸術劇場(通称「芸劇」)の建物について解説を受ける。再び正面から鑑賞。

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設計は芦原義信氏によるもので、氏の作品では他に「オリンピック駒沢体育館・管制塔」や「ソニービル」等が有名。三角や四角、丸といった幾何学模様を意識的に取り入れたデザインであるということだ。
1990年3月に開館して以来、何度か大幅な改修工事が行われ現在に至っている。中でもアトリウムの中央に1階から5階まで直接上がる“恐怖のエスカレータ”があったということだが、現在は撤去されている(これはガイドの説明にはなかった)。ガラス屋根といい最初は斬新なアイデアが取り込まれていたのだろう。

かつては学芸大学付属豊島小学校(元・豊島師範学校)のあった跡地に池袋西口公園(1970年)が作られ、その後にこの劇場が作られた。
振り返って西口公園。ここも2019年に劇場公演としてリニューアルされた(写真下)。

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一見、芸劇と対になって関連付けられた設計になっているように見えるが、ここの所有者は違うということだ。芸劇は“東京都”であり西口公園は“豊島区”ということらしい。この下の溝が境界線になっているという(写真下)。

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こちらはクレメント・ミードモア作「CRESCENDO」(クレシェンド:音を次第に強めること。またその記号。最高潮)のモニュメント(写真上)。
芸劇の右側に進んで朝倉響子作「マリーとシェリー」のブロンズ像(写真下:左)と永原浄作「アリオン」のモニュメント(写真下:右)。

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「アリオン」は暗くなるとあかりが発せられるとのことだ。劇場通り側から芸劇に入る目印になるという。

・ 劇場ツアー(内観)

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再び劇場内に入り階段から上がっていく(写真上)。ここは休憩スペースになっているが、普段立ち入り禁止となっているエリアだ。ツアーでは特別に入れてもらえた(写真下)。

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そこからの眺めは片側に寄った各階を一望できる。しかし、何故こういう構造になっているのだろうか・・という疑問についてガイドさんから解説・・それはこの反対側に位置する建物の下に地下鉄有楽町線が通っているためである、ということだった。つまり地下鉄の音を最大限に抑える構造となっており、特に7階にあるパイプオルガンのコンサートホールというのは世界でも非常に珍しいケースとか。

ここから例の2階から5階へ直行する長いエスカレータに再び乗り移動、コンサートホール横の笹戸千津子作「シャツ・ブラウス」のブロンズ像前に集まる(写真下)。

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上を見上げると「お! 絹谷幸二さんの作品!」三枚の円形フレスコ画が発色良く照らされていた(写真上)。作品は写真手前から「天(蒼天の人)」「地(東京の太陽)」「人(ローマの友人)」という作品名で、そこに込められた作品の解説を聞く。
また、この時「1%フォー・アート」についての説明もあった。以下の通りである。

欧米やアジア諸国では、公共建築物を建設する際、総事業費の一定割合をその建築物に関連する芸術・アートに支出することが法律で義務付けられています。多くの国が1%前後で、その数字をとって「1%フォー・アート」と呼ばれています。
芸術の設計者である芦原義信は、日本におけるこの活動の提唱者で、芸劇には彼の呼びかけで作られたパブリックアートがたくさんあります。ぜひマップとともに探してみてください。(「東京芸術劇場 美術品マップ」より)

1%と言っても結構な金額になるだろう。ふむふむ。
ただ・・何となくこのツアーの趣旨は、芸劇の“パブリックアートのガイド”かな・・と思い始めてきた。確かに館内には素晴らしい美術品が設置されているが・・。

次に案内された作品はマルトン・ラースロー作「リトル・プリンセス」のブロンズ像(写真下)。

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さらに奥へと進み、掛井五郎作「犬も歩けば足の上」のブロンズ像(写真上)。この階最後の滝川嘉子作「迷宮へ―明日への記念碑」のガラス彫刻(写真下)へと案内が続いた。

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滝川氏の作品は本来照明で照らされて美しく輝くはずだということだが、現在故障中・・残念。いよいよパブリックアートツアーだと割り切り始めたところでガイドさんからアナウンス。
「今日はたまたま地下1階のシアターウエストの方に公演が入っていないため、舞台裏等をお見せすることができます。では、そちらの方へ参りましょう」ということだった。
「そう、それを期待していた!」
今度はシースルーエレベータに乗って1階へ向かう(写真下)。

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・ 劇場ツアー(シアター内)

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地下1階にあるシアター入口前「ロワー広場」に着いた(写真上)。
左がシアターイーストで只今、重松清原作・近藤芳正出演の「ナイフ」が上演されてる。ここは束立つかたて組床といって自在にステージを動かすことができる200席程度の小ホールとなっている。
対してこれから入るシアターウエストは、既存の昇降床を固定し、間口9m、奥行5.2mのイースト同様200席程度の小ホールになっているところだそうだ。
それから、ここロアー広場は地下鉄通路とつながっている。雨の日は便利だね。では、入りましょう(写真下)。

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待合室を通りさらに中へ(写真上)。こじんまりしたシアターだ(写真下)。

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説明ではさまざまな工夫がほどこされていること。その一つにはどの席でも遜色そんしょくなく観覧できるように席が配置されてあるという。そんな訳で皆さん自由に動いてみてくださ~い、と言われ右奥の方向からステージを眺めてみる(写真下)。

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確かにそうかも。
しばらくして今度は照明等を取り扱う調整室を案内してもらえるという。そこは狭いので2班に分かれることになった。もう一方はステージに上がって両脇見学となる。どちらもスタッフ専用のワークスペースだ。
まずは調整室にお邪魔(写真下)。

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なかなか眺めもいい(写真上)。ここでどういうことを行うのか、専属のスタッフさんから説明を伺う。今ここはすっきりしている。持ち込まれる機材も上映内容によってさまざまだそうだ(写真下)。

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では、再び客席に戻って別の班と交替(写真下)。ステージ脇の案内を伺いましょう。

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実際にステージへ上がってみた。

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上がってみるとそれほど広くは感じない(写真上)。先ほど見せてもらった調整室が正面中央にある。
ガイドさんの指示さししめした先にはスタッフ専用のキャットウォーク(上部通路)がある(写真下)。音響・照明機材がたくさん吊ってあるということだ。

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舞台そで(舞台の脇)にある「舞台連絡設備架」(写真上)。ここはさながら最前線基地というところか、監督がここから指示を出しているのだろう。そしてこの裏側に役者の控室や舞台袖の反対側へ通じる通路などがあるという。

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舞台袖の反対側には、今は機材点検の様子が伺えた(写真上)。上映中はここに役者が控えているため、客席から見えないよう幕が張られるらしい。

一通り説明が終わり、客席へ入る前の待合室へ2斑合流となった。挨拶を受けて「劇場ツアー」が終了。ガイドさん、親切で丁寧な説明ありがとうございました。

この後、ロワー広場のギャラリーを覗いてみた。フォトグラファー・西本由希さんの個展が行われていた(写真下)。

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また、改めて写真も撮り直しに回った。

「劇場ツアー」は月に2回程度、不定期で行われているらしい。参加されたい方はホームページでチェックを。

東京芸術劇場
住所:東京都豊島区西池袋1-8-1
電話:03-5391-2111(代表)
[受付時間]9:00~22:00(休館日を除く)
公式ページ:
https://www.geigeki.jp/

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