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独断と偏見のみで構成される、暴君による対クッキー論


お菓子屋さんらしからぬことをいうが、クッキーがあまり得意ではない。
全く食べないわけではないのだが、他に選択肢があればクッキーを選ばないことが多い。

なぜクッキーを好まないのか。
クッキー界の暴君の異名を持つマツザワが、独断と偏見による客観性に欠いた論を今から展開しよう。

まず、クッキーは奥歯に詰まる。
奥歯に詰まったクッキーをとろうと舌を動かしていると一気に疲労感に襲われる。
優雅なおやつタイムも、クッキーを食べればたちまち表情筋の筋トレタイムと化す。
どうして自分を甘やかそうとして食べ始めたクッキーで、年々衰えゆく表情筋を鍛えあげる必要があろうか、いやない。

次に、クッキーは物理的に量が少ない。
クッキーの種類にもよるが、だいたいクッキーの平均的な大きさといえば、カントリーマアムくらいの大きさを想像する人が多いのではないか。
クッキー1枚を食べたところで到底空腹が満たされるはずもなく、気づけば10枚近く食べていることがある。
どうして大好きなおやつタイムをクッキー1~2枚で終わらせることができようか。いや、できない。
クッキー1枚50カロリーとすると、10枚食べたら500カロリーである。

食べ過ぎである。

だったら1個300カロリーのショートケーキを食べた方が満足感も高かったと、激しく後悔することはいうまでもない。

クッキーはカロリーが高いのに、ちっちゃくて、歯に詰まって、お腹いっぱいにならない。
クッキーに限らず、お菓子全般にいえることではという声も聞こえてきそうだが、ここでは私は暴君だ、異論は認めない。

しかし意外にも、世の中のクッキー人気は根強い。

いろんな種類のクッキーを小さな缶に詰めたクッキー缶などは、見た目の可愛さもさることながら、日持ちを気にする必要もなく、お土産やプレゼントの定番ともいえる。

言われてみれば、お花や動物の型で抜かれたクッキーはかわいい。
あんなのが小さい缶にぎゅうぎゅうにはいっていたら、蓋を開けた瞬間乙女心がくすぐられ、きゅんとときめくのは想像に難くない。
缶に詰まったいろんな種類のクッキーを毎日少しずつ食べるのは、クリスマス時期のアドベントカレンダーさながらの、ささやかな楽しみともいえる。

ちょっぴりチョコがかけられているクッキーも、また粋じゃないか。
アイシングで丁寧にデザインされているクッキーも、作り手の技術に感嘆せざるを得ない。

そして、例外的にアメリカンなソフトチョコチャンククッキーは総じてうまい。
柔らかくて歯に詰まりにくく、ゴロゴロしたチョコがはいっている。
サイズも大きくて食べ応えがある。

かの御スターバックス様も定番商品としてチョコチャンククッキーを常備しているからして、ソフトチョコチャンククッキーは今やアメリカンな見た目とは裏腹に、日本のクッキー市場を席巻しているといっても過言ではない。

無我夢中でクッキーへの想いを語るあまり、存外クッキー界隈を愛で、擁護する論理展開に傾いてしまった。
しかし、かくして酌量の余地があったとて、一部を除く大体のクッキーについてもう一度警鐘をならし、鉄槌をふりかざさねばならぬことがある。

それは、

やつらは、奥歯に詰まる。

それだけは決して忘れてはならない。

追記:
クッキーはクッキーである前に甘味であるからして、いただいたクッキーはすべておいしくいただいています!(我大前提がお菓子大好き暴君也)

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