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「自己/当事者」の話。

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2018年3月の記事一覧

「実践」というコトバ。

学校の世界で、そのコトバが安易に軽く使われているように感じることが少なくありません。また、そのコトバをつければ、自分の行っていることがなんとなく格調高いものになるという錯覚があるようです。 そもそも「実践」とは何でしょうか。 「実践」の意味を紐解いてみます。辞典によれば、「実」は「物事の内実・草木のみのり・まこと」、「践」は「足を地につけること・踏み行うこと」をいいます。さらに、その「実践」に対応するギリシア語の「praxis」では、「ある目的を志向し、実りをもたらす実行

「意思表明」とは何か、という話。

障害者差別解消法では、社会的障壁を除去し、合理的配慮を提供するために、「障害者の意思表明」が必要であると規定しています。 私も当事者としてこれまで様々な場面で意思表明していますし、障害のある子どもや青年が意思表明できるようになるための支援の研究や実践にも取り組んでいます。 ところで、冒頭の規定内容が広く認知されてきているなかで、障害当事者の中には、職場や社会等に対してうまく意思を表明できないから権利を行使する能力が足りないのかなと思い込んで嘆いたりする方々が続出しているよ

「ニーズ」を捉える「ものさし」の話。

「ニーズ」は、要求や需要と同じような意味で使われることが多いようです。本来は、人が生きる上で何かをしたいことがあり、しかしそれができず充足できない状態になった時に現れてくるもの、と考えていいと思います。 「ニーズ」が出てきた時に、それがその人が単独でできないことならば、手助けをする人が必要になってきます。ここで問題になるのは、その手助けをする人の「ものさし」のありかたです。 「ニーズ」は、何かをしたいがそれができないでいる人が求めている「イメージ」と、その人を手助けする立