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【当方見聞録】世紀の相方-興福寺梵天帝釈天@根津美術館

職場恋愛は、今も昔も給湯室でOLさんの話題になる。給湯室とOLが死語だとしても、職場恋愛とあやしい二人の噂話は永遠不滅。

相方、っていうのは隠していてもわかってしまうものなのか。雰囲気に出ちゃうものなのか。そんなのは人によるだろうし分かんないのだが、今、根津美術館に一目でわかってしまう長年の相方が並んで立っている。

興福寺の梵天立像と帝釈天立像。

13世紀初めに同じ人に作られたふたつの仏像。梵天と帝釈天っていうのは対なので、二人は相方みたいなもん。明治維新の廃仏毀釈などの影響で、今は離れ離れで暮らしているらしい。

この二人が、根津美術館で100年以上ぶりに再会し、肩を並べて立っている。

一目見て伝わる二人の相方感。顔も服装も違うけど、二人は確実に何かで結びついている。

お寺の門に左右に阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の金剛力士像が立っていたり、神社の狛犬が2匹左右に立っていたりするが、そういう、セットで置かれる本来の持ち場で見ると、二体が相方であるかどうかなんて特に考えもしないのだけど。

興福寺の梵天と帝釈天は、本来の持ち場ではない展示室の一角で、僕らは相方なのだ、と見る者に訴えかけている。

心なしか梵天も帝釈天もうれしそう。

収まるべきところに収まるってこういうことか、となんだか心が洗われた東京のど真ん中。

根津美術館特別展示「再会ー興福寺の梵天・帝釈天」(2017/3/31まで)http://www.nezu-muse.or.jp/popup_saikai.html

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