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【素読】無門関 第二十四則 離却語言

 無門関  第二十四則 離却語言りきゃくごごん

 風穴ふけつ和尚、因みに僧問う、「語黙ごもく離微りびわたり、如何いかにせば通じて不犯ふぼんなる」。けつ云く、「とこしなえにおも江南こうなん三月のうち鷓鴣しゃこく処百花かんばし」。

 無門曰く、
「風穴、機掣電せいでんの如く、みちを得て便ち行く。争奈いかんせん前人の舌頭ぜっとうを坐して不断なることを。者裏しゃりに向かって見得けんとくして親切ならば、おのずから出身の路有らん。しばら語言ごごんざんまい離却りきゃくして一句をち来たれ」。

 頌に曰く、
 風骨ふうこつの句をあらわさず、未だ語らざるに先ず分付ぶんぷす。
 歩を進めてくち喃喃なんなんんぬ君が大いにくこときを。 

無門関 第二十四則

無門関はどの文も美しいけれども、ここで引用されている「とこしなえにおも江南こうなん三月のうち鷓鴣しゃこく処百花かんばし」という杜甫の詩の一節は、口に出して読んでみて、とりわけ美しい文章だと思う。素読の醍醐味だ。

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