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○20240108 【論文ノート】ボランティアとgenerativity

【文献情報】
Parise, M., Pagani, A. F., Bertoni, A., & Iafrate, R. (2019). Volunteering and Social Ties After Marital Separation: An Exploratory Study on a Sample of Separated Parents in Italy. TPM: Testing, Psychometrics, Methodology in Applied Psychology, 26(4), 621–637.

 最初「やった!独身者に関する調査だ!」と喜んだのですが,少し目を通すと調査対象者が「全員独身者」であり,「パートナーがいる人」と「パートナーがいない人」の比較をみたい私には不向きでした~と思いましたが,「独身者でもボランティアなどで社会的なつながりがあるとgenerativityは満たされる」という研究の1つにはなるなと思いなおしざっと目を通すことにしました。

 
【調査対象者の主な属性】
 男性の年齢は29歳から69歳(M = 53.72; SD = 6.90)、女性の年齢は23歳から73歳(M = 54.12; SD = 8.78)であった。元パートナーとの間に最低1人、最高6人の子どもがおり(M=1.61、SD=0.72)、56.6%(N=180)の親が子ども/子どもと同居していた(N=男性100人、N=女性80人)。参加者の46.5%(N=148)が新しい夫婦関係を持ち、そのうちの27.7%(N=88)がパートナーと同居していた。
 
【ボランティアへの従事の状況】
 ボランティアの状況については、参加者の41.2%(N = 131)がボランティアであった。所属していた別居両親のための協会(39.7%)、または他の種類の団体(33.6%:困っている人々に社会的または健康的援助を提供するグループまたは協会、18.3%:教育、芸術、音楽、文化活動を提供するグループ、10.7%:人権、人種平等、平和、女性の権利に関心のあるグループ、13. 0%:スポーツまたはレクリエーション団体、19.8%:小教区の団体、16.0%:宗教団体、6.9%:自然、環境、動物の権利の保護に専念する団体、6.9%:政治団体、3.1%:地域または近隣の委員会および市民保護団体、9.2%:専門家団体、15.3%:その他の団体またはグループ)。51.5人が複数の団体にボランティアとして参加している。
 
【generativityの測定方法】
 LGS(McAdams & de St.Aubin, 1992)。19項目。4件法(1.全くない~4.とてもよくある)

【メインの結果】
 

 青色の矢印が「正の予測関係」,赤色の矢印が「不の予測関係」で,ボランティアはgenerativityを直接的に高めることもあれば,ソーシャルサポートを提供することを通じて高まることもあるけど,ボランティアでソーシャルサポートを受けるとgenerativityが下がるというのは自分にとっては意外な結果でした。そういう意味ではボランティアというとソーシャルサポートを提供するイメージしかないけれど,受けることになるとそりゃgenerativityがさがるのもまあ当たり前かと。
 
 この結果は全体の傾向であっていろんな要因を分けて検討すると結果がどうなっているかまで終えておりませんが,やはりボランティアなどの「generativityに関連しそうな子育て以外の活動への従事」の大切さを指摘できる研究だったなと。


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