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20230612 百年後の祭心理学のために

 CiNiiは論文だけでなく書籍も検索結果にでてきて,今日の検索結果は書籍が固まっていました。2023年からたどっていて今2014年なのですが,書籍の場合たった10年前であってもすでにほとんどが絶版になっていて注文できないのが残念だなあと。
 例えば,山口昌男・今福龍太 (2014). 歴史・祝祭・神話 岩波現代文庫.なんてものは天下の山口昌男氏でかつ岩波書店だから買えるだろうと思って検索してみると在庫なしと出てきて買えませんでした。

 先日,「図書は著作権の関係などで本文の内容がネットに蓄積されないので結局残らないのでは?」ということを書きましたが,その懸念がますます強くなった気がしています。
 
 そして他の本を探していると非常に魅力的なタイトルの本が出てきました。
津屋崎祇園山笠三百年記念記録誌作成委員会 (2014). 百年後の津屋崎祇園山笠のために.津屋崎祇園山笠三百年記念記録誌作成委員会

 博多祇園山笠の「ハカタウツシ」などについて知るためにも上記の本を入手したいな…と思って検索してみても,CiNiiで出てきた検索結果では所蔵館は2館のみ。東京大学の資料編纂所と福岡教育大学の図書館のようです。
 しかしCiNiiは大学図書館しか対象としておらず,一般的な市町村などの図書館の所蔵はでてきませんので,「国立国会図書館サーチ」と「カーリル」などで調べてみると…おそらく公共図書館では福岡県立図書館にしか存在しないようです。
 ちょっとびっくりなのは「国会図書館」に存在しないことで,ISBNも存在しないようです。
 通常,本を出版した場合は国立国会図書館にその本を送る義務か何かがあった気がして(国立国会図書館法に定められた納本制度のようです),永く後世に本を残したい場合,国立国会図書館に送ることで一安心,という感覚があるような気がします。

 しかしこの本は津屋崎の近くの福岡教育大と,津屋崎のある福岡県には納本したけれども,津屋崎のある福津市の図書館で検索してもでてこないので,他にはほとんど納本されていないのではないかと思います。


 ただ,「国会図書館に納本しないといけない」という知識も,私がたまたま図書館司書の資格に必要な授業の単位を取得しているから知っていただけかもしれず,一般的には知られていないのかもしれません。
 そう考えると,書籍の印刷などはほとんど担当せず,ISBNの取得なども行ったことがない地元の印刷屋さんで製本されたさまざまな祭に関する書籍が,国会図書館に納本されずに地元だけで配布され,そのため百年後に残らなくなってしまっている例はものすごく多いのでは…などと思われてきました。
 
 福岡県の図書館などに所蔵されているのであれば,それを登録する際に国会図書館のデータベースを参照して,それで登録されていなければ自動的に国会図書館に送るなどのシステム位あっても良いような気もするのですが…やはり「現物」が複数ない場合は県立図書館の書籍を国会図書館に送るなんてことは非現実的なのかもしれません。
 
 しかしまあ,「百年後に残すため」という思いを込めて記された書籍が,国会図書館に納本されていないからということだけで,百年続く可能性が著しく低下するのは何とも寂しいなあと思ったりした出来事でした。

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