20230330 祭と野生生物
最近論文も読まず,1行で終わることも続いてしまっていたこの祭心理学NOTEですが,ようやく久しぶりに論文を探すことができるようになりました!その栄えある最初にみつかった論文は以下のものです!
浦山佳恵・畑中健一郎 2016 長野県の伝統行事における野生生物の利用. 長野県環境保全研究所研究報告, 12, 35 – 43.
祭の研究って,ある1つの具体的な祭について検討する際は関係ありませんが,さまざまな祭をあつめて共通点を探ったり,比較したりしようとすると途端に方法論的に難しくなると思っています。
例えば先日ChatGPTに「日本の祭で参加者数の多い順に20リストアップしてください。」とお願いしてみましたが,「参加者数」の定義や「どのような祭をどの範囲で抽出するか」の設定が難しく,まともな回答を得ることはできませんでした。
そのため,最初この論文のタイトルを読んだ時は「長野県の伝統行事なんて無数にあるだろうし,そこで利用されている野生生物も無数の種類あるだろうし,どうやって抽出してどうやってまとめているのだろう?」という方法論的な関心が第一に来ました。そして実際に目を通してみると「すごく大変そうだけどこの方法は確かにありだな~。」と感心させられたのでまずはそこを引用させていただきます。
分かりやすくあっさり書かれているのでその大変さに気づけずに読み飛ばしてしまいそうになりますが,これはものすごい労作だろうなあと思います。しかし,このような方法を取れば,著者が「(市町村誌に記載がないからといって)利用がないとはいえない問題があるが…」と指摘されていますが,おそらく査読などでサンプリングなどの問題を指摘される可能性はかなり低いように思われたため,類似した関心で研究を行う際には参考にさせていただきたいと思いました。
そしてこのように明確にサンプリングというか全数調査された場合,変に多変量解析などでこねくり回さなくても数を数えるだけで結果がでるわけで,論文中にあげられている表はどれをみてもすぐにその内容が分かりかつ有意義なものだと思います。
例えば上にあげた表は論文中の表3の上1/3ほどを切り取らせていただいたものになりますが,アカマツやタケやヤナギなどが多いという情報と共に,クザボケやクルマユリやクログワイなどの1つしか挙げられていないものも丁寧にカウントされているのが分かると思います。
そして迎え盆に使われる野生生物が違うという事実自体に「ほぉ~」と関心させられると共に,それをこのように図示できるというのも面白くて,何かこう自分も祭の内容の地域差をこのように図示できるような研究をしてみたいなあとの意欲を新たにしました。
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