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20231225 飲み会の定義探し

 先日より飲み会に関する研究に興味を持っていることについて書いてきましたが,本日は少し文献を探す時間が取れました。
 そして最初に見つけたのが以下の論文。
 
山田拓実・瀬田史彦 2023コロナ禍における遠隔地との自由行動の実施頻度および満足度変化の都市圏間比較. 都市計画報告集, 21(4), 394 – 401.

 祭関係の研究を探していると,建築系や都市計画系の理系の研究者が祭について研究していることに気づき,理系の論文なので定義や測定などが明確で役に立つことが多いので,今回のも勉強になりそうだなあと思いながらざっと目を通させていただきました。
 
 基本的にはZoomなどのオンラインツールを用いた活動に関する意識調査なのですが,これまではリモートワークなどの拘束的な行動に関する研究への関心が主であったのに対して。会話や交際などの自由行動に着目したのが売りであり,その例としてオンラインのレッスンセミナーと飲み会を取り上げているもののようです。
 また,新型コロナの感染が拡大し収束の見通しが立たなかった頃は「ニューノーマル」などで新たな人間関係の重要性ばかりが指摘されていましたが,収束がみえてきて,特に自由行動に関しては「いらないんじゃ?」「やっぱ対面がいいよね?」という動きが出てきたあとの論文でもあるので,今の状況を理解するには役立つ論文だなと思いました。
 で,この論文での飲み会の定義ですが,以下に補足を入れつつ引用してみます。

「本人を入れて2人以上で、昼または夜に開催される飲食会(本人がお酒を飲まなくても構わない)」と定める。前者(レッスン・セミナー)には「受講が任意の」と付しているが、後者(飲み会)には同表現を付していない。
しかし飲み会は自由行動と拘束行動の区別がつきにくく被験者を混乱させてしまう可能性があるほか、参考文献によれば拘束行動としての飲み会(仕事上の付き合いを含む「食事」)にせよ、自由行動としての飲み会(「レジャー活動等」)にせよ雑談が多く発生すると述べられており、飲み会が自由行動・拘束行動のどちらに分類されたとしても、本研究の目的は概ね達成できると考えられる。以上の理由から本調査では飲み会の定義に参加が任意であるか否かについては言及していないが、両者を区別することでより精緻に分析できると考えられる。

 ということで,かなり広くとっているのがわかります。このあたり,レッスン・セミナーとの比較が論文の主題なので飲み会を広くまとめた理由はわかりますが,両者を区別したものも見てみたかった気もしました。
  
 この論文ではいろいろ面白い結果が出ていますが,一番面白いと思ったのが以下のグラフです。

 これ,レッスンセミナーは新型コロナが収まっても参加する意欲が高く今後も増えていくことが予測されているけれども,オンライン飲み会に関してはそれほどではなく,近隣都市だと「(ほぼ)しなくなると思う」の率がかなり高いのが分かると思います。
このあたりの感覚は私の実感と一緒で,学会のオンラインセミナーなどは新型コロナ後もありがたく聴講しておりますが,オンライン飲み会をしようという意識はまったくなくなったなあと。
 まあ,このデータは「40歳未満」の若者のみを対象としているので「お前のようなおっさんの実感と一緒って言われたらむしろ妥当性減る!迷惑!」と筆者らに言われてしまう可能性はありますが…(笑)。
 
 と,ここまで書いてもう帰宅5分前になってしまいました。またこの論文もじっくり目を通させていただきたいなと。

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