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20240113 大学生が大学で公的に酒を飲んでいた時代 神戸大学厳夜祭

 神戸の伝統的な祭についてまとめたいなあという野望があるので、神戸の祭について調べているとでてきたのがこちらの文献。

【書誌情報】
田村 豪 2019 夜という時空間及び祝祭という非日常の混淆性 : 神戸大学厳夜祭を例に. 海港都市研究(神戸大学大学院人文科学研究科海港都市研究センター), 14, 3 – 28.

 基本的に大学の学園祭には興味がないのですが、「夜という時空間及び祝祭という非日常の混淆性」というタイトルに「やはり祭は夜がいいよね~」と魅かれたのと、先日「大学生の過剰飲酒」の論文を読んだこともあって目を通してみました。
 神戸大学の学園祭といえば六甲祭というのがあるのを行ったことはないけど知識として知っていましたが、厳夜祭というのは全然知らなかったので説明を読んでみました。

 厳夜祭とは、1973年に始まり、2014年で41回を数える、神戸大学では最も歴史のある祭りだった。基本的に11月の中旬から下旬の土曜日に、夕方から翌朝までの夜通しで、現在の神戸大学国際人間科学部キャンパスにおいて催されていた。(中略)2013年までは飲酒が可能だったため、夜通しお洒を飲める学園祭として知られていた。教室では、2006年から2014年まででは平均16.5店舗の模店が営業され多くの模擬店が各団体にオリジナルのメニューを提供をしたり、小さな音楽ライプを開催し、比較的大きな教室では実行委員企画としてケーム大会などが開かれていた。またB棟の大教室前には特設のステージが設けられ、地下アイドルや学内の軽音楽のライブが開催されたり、ビンゴ大会が行われていた。

 普通の学園祭である六甲祭は4万人の来場者があるようですが、厳夜祭の来場者はどの程度だったのかはわからないのが残念ですが結構少ないのではと思います。2013年までは飲酒可能で2014年に終わったということは、やはりお酒がメインの学園祭だったのでしょうねと。
 
 と、ここまで読んで「通常の学園祭である六甲祭でも昔はお酒が飲めただろうけど夜通し飲んだりはできたのかな?」という疑問が湧きました。で、読み進めると「六甲祭も開催は11月」とあり、このあたりの関係はわかりにくいと思いましたが、参加者自体も捉え方はいろいろだったようです。

 Jさんは六甲祭と厳夜祭の関係を「六甲祭夜の部みたいな感じがする」と述べており、六甲祭には前夜祭も後夜祭もないから来場者としては一連の祭りのように思われていたという。ただAさんが「厳夜祭と六甲祭の共通点を見つける方が難しい」という語りに代表されるように六甲祭と厳夜祭は全く違った祭りとして認識されていた。

 で、この論文の主役である「夜」や「非日常」という件に関しては論文自体を読んでいただきたいのですが、この論文で学生が語っていた「大学をジャックしている」ようなそれこそお祭り感については、これまであまり大学生を題材とした漫画などのフィクションで記述されてきていない気がします。
 しかし、そのようなものは「中高校生が文化祭の準備で徹夜する」状況では非常に多く記述されていたようにも思えます。私が今ぱっと思いつくのはゆうきまさみ氏の『究極超人あ~る』とかわかつきめぐみ氏の『月は東に日は西に』とかですが、80年代から90年代の高校生が主人公の漫画ってそういうシーンが今の「悪役令嬢もの」や「無自覚能力者もの」並みに定番としてあったような気がします。
 まあでも、実際に高校で徹夜をした経験のある人というのはかなり少ないと思うので、そうした漫画などでみていた「あこがれの学生生活」というものの実現の一環としてこの厳夜祭はあったのではないかな~と思ったりもしました。全然的外れかもしれませんが。
 

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