ジャケットについて語る #03 線香花火
エモーショナル - emotional 感情的なさま・情緒的なさま。
心動かされる瞬間、それは誰にでもあり、一人一人が何で心が動いたかなんて当たり前に違うので、世の中が”エモい”という言葉で溢れているのは至極当然の状況だと思っています。
はてさて、みなさんは感極まった時ってどうしていますか?日記にしたためるのか、誰かに話すのか。はたまた言葉にならない感情を思いっきり叫んでみたり、音楽にのせて踊ってみたり…。自分自身の感情のキャパシティをオーバーした心の躍動をとどめておく事って、なかなかに難しい事だなと日々感じております。
人の心を動かす存在=アーティスト
私自身、MATSURIというアーティストの作品を一緒に制作しながら常に心を揺さぶられ続けております。今回、これまで配信リリースしてきた楽曲のジャケットに関して語らせていただいたのも、どこかにこの揺さぶられた感情を吐き出したかったからかもしれません。
完成されたものじゃなくても作品
今までは最終的に完成されたものを”作品”として世の中に出していくことが当たり前だと思っていました。しかし、3rd digital single『線香花火』のテーマを受けて、その考えを一掃しようと思いました。
ラフ画が配信ジャケットに
『線香花火』のリリックビデオに使用されているイラストのラフ画を使用した配信ジャケットがこちら!
今回リリースした『線香花火』には、今までと明確に違う点が一つあります。それはMATSURI自身の考えから生み出された楽曲という事です。
アーティストというものは、伝えたいことや発信したいことが尽きない生き物だと思っています。MATSURI本人も、考えている事や伝えたい事はたくさんあるアーティストなのですが、その中でも一つ、歌で伝えたいテーマの中に”命”に関してというものがありました。
MATSURIや、彼女の同世代にとっての生きるとは何か?楽曲制作ディレクターとMATSURIと一緒に話し合いながら、MATSURI自身のこれまでの想いや周りの方々と関わって感じたこと、そして今後の不安な未来まで…、割と深くまで話して出来上がった楽曲となっています。
これは少々ディープな話になってしまうかもしれませんが、これまで出してきた『金魚すくい』『蛍』は、いわゆる「聴いていて気持ちの良い曲」として作ってきました。ボーカルとメロディが一体となり一つの世界になっている。全ての声が楽器の一部になるようにハモリなどが結構入っています。多分、聴き比べてもらうと一目瞭然なのですが『線香花火』に関してはコーラスもダブルも一切入れずに、メインボーカル1本だけで作っています。
MATSURIの想いが強く込められた曲、そして私が惚れ込んだMATSURIの歌声。『線香花火』に関しては、シンプルにこれだけで勝負したいと強く思いました。…みなさん、聴いてみてどうでしたでしょうか?この記事を読み終わった後にぜひ、3曲聴き比べていただけたら嬉しいです。
…と、かなり話はそれましたが。今回の楽曲はシンプルだからこそ曲に込められたストーリーが伝わるんじゃ無いかと思いミュージックビデオは作らずに、イラストのみのリリックビデオとしてYouTubeに公開しております。
リリックビデオのイラストは、イラストレーターの「ゆの」さんにご担当いただきました。ゆのさん独特の色彩感から伝わってくる温かさ、そして儚さ。イラストの瞳から感じられる芯の強さ…理由をあげ始めたらキリがありませんが、この『線香花火』を表現してもらうならゆのさんのイラストが良いと、これまで出してきていた作品を見たときにビビビッと感じました。
そして今回の『線香花火』のジャケットデザインには、リリックビデオに使用させていただいたイラストのラフ画を使用させていただきました。通常なら世に出ることなんて無かったはずのイラストのラフ画。多分ラフ画側もまさか自分が作品として出されるなんて思ってなかったでしょう。
でも、それが良いんです!
線香花火と言われて、皆さんは何を思い浮かべますか?最初の袋から取り出した時の姿、パチパチと火花が散っている様子、落ちた火種、燃え尽きたあと。人によって想像する姿って変わると思います。
いのちの姿も同じだと思っていて。胎児でも赤ちゃんでも、学生でも社会人でも、定年退職した後でも、全てのその一瞬一瞬が”一番輝ける瞬間”だと思っています。最終の形態だけが作品じゃない、自分が完成だと思っていないから世の中に出しちゃいけない作品なんてないと思うんです。実際、今回ラフ画を配信ジャケットとして出した際にもすごく前向きな感想をいただけました。もしかしたら作品一つ一つからだとなかなか伝わりづらいメッセージかもしれないですが、少しでもこの曲に興味を持っていただいて、MATSURIの公式サイトに来てくれて、そしてこの記事までたどり着いてくれたあなたに勇気を与えることができていたら嬉しいなと思います。
そんなMATSURIの3rd digital single『線香花火』は各配信サイトで聴ける他、YouTubeではリリックビデオも公開中です!
音楽だけにとどまらず、芸術作品って受け取る人によって見え方が随分と変わってきますよね。勿論正解なんて無いし、みなさんが見て聴いて、そして触れて感じた直感を信じてもらえればと思います。と、いうのは大前提として…。こうして作っている側から作品を見る機会ってなかなか無いと思うので、いかにして作られたのか、という記事があっても面白いのかなと思い今回3曲分の配信ジャケットについて語らせていただきました。
思っているより、MATSURIというアーティストの宇宙は広い。皆さんにもそう感じてもらえるよう、今後もたくさん作品を出していきたいと思っています。どうぞよしなに!
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