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よんだもの/みたもの

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日々の生活と よんだもの/みたもの たち
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#小劇場演劇

20歳の国『ホテル』より「マジック」おぼえがき

 ひだりくすりゆびへの羨望、について考えている。結婚がどう、とかじゃなく、彼らはみんな確かなものを抱いているようにみえて。名前がさほど意味をなさないことなんか分かってはいるのに、すがりついてしまう。  ホテルの一室を模した舞台。ベッド上にバスローブ姿の男女。初対面らしい。関係性を象徴するように、ふたりのくすりゆびには指輪があった。  情事のあとのよう。猥談が繰り広げられ、次第にそれぞれの過去、学生時代のエピソードへと移る。互いのことはほとんど知らないまま、それでも感情のど

かまどキッチン『海2』をみる

   HPに掲載の紹介文にあった『(きっと)児童向け冒険譚』という一文、が印象にのこっていた。  本作は三幕構成になっている。  一幕、の作品のてざわりは、毒のある児童文学(SF)のような......スパイスが効いたワッフルにみたことない鮮やかさのシロップがかかってる、そういう様子とかおりがした。かわいいんだけど、くっ、と喉にひっかかるところがある。このどきどきをむかし、感じたことがある。小学校のころ図書館でおそるおそるひらいた知らない本に、呑まれていくあのときだった。