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よんだもの/みたもの

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#かるたdanzai演劇

作品としての「作者」への愛【のあんじーまつり『恥』上演に際して】

 「恥」は、1942年1月婦人画報に発表された短編小説である。全編を通じ書簡の形式をとり、その中で書き手である「和子」はその友人「菊子」に向けて大恥をかいた顛末を語る。精神的に安定し明るく透明感のある作品群が目立つ、太宰中期の作品である。 太宰治『恥』青空文庫より  和子は菊子に対し、小説家である戸田とのエピソードを語る。彼女は作者と作品を混同し、新作小説の主人公のモデルは自分であると思い込む。戸田へ手紙を出し、自宅へと訪問した挙句、最終的には自分の勘違いをつきつけられ