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よんだもの/みたもの

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日々の生活と よんだもの/みたもの たち
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2021年5月の記事一覧

中園孔二 個展『すべての面がこっちを向いている』をみる

 ANB tokyoにて開催されている個展。YO-KINGさんのレヴューで知り、足を運んだ。 中園孔二は1989年神奈川生まれ。2015年、25歳という若さで夭逝するまでに、絵画を中心に彫刻、インスタレーションも含め700点以上にわたる作品を制作しています。生前、東京オペラシティアートギャラリーグループ展「絵画の在りか」に出品、逝去後も、埼玉県立近代美術館でのグループ展(2016年)のほか、パリのポンピドーセンター・メス(2017年)や、モスクワビエンナーレ(2017年)、

かまどキッチン『海2』をみる

   HPに掲載の紹介文にあった『(きっと)児童向け冒険譚』という一文、が印象にのこっていた。  本作は三幕構成になっている。  一幕、の作品のてざわりは、毒のある児童文学(SF)のような......スパイスが効いたワッフルにみたことない鮮やかさのシロップがかかってる、そういう様子とかおりがした。かわいいんだけど、くっ、と喉にひっかかるところがある。このどきどきをむかし、感じたことがある。小学校のころ図書館でおそるおそるひらいた知らない本に、呑まれていくあのときだった。

佐川恭一『舞踏会』をよむ

 妻と娘との三人家族のわたしは、職場でも家庭でも孤立していき、限られた小遣いの中でわずかな喜びを見出す日々。強靭な精神を持つ妻に太刀打ちできないわたしは家出することで抵抗するが ・・・「愛の様式」  苦手なドッジボールに誘われるまま参加したことをきっかけに、現実のぼくの心と体はどんどん乖離していく。十歳を目前にしたぼくはすべてを消し去ってしまおうと決意する ・・・「冷たい丘」  この世界はしらふで生きていられる場所じゃない。勝者しか存在を許されない会場で、ぼくたちは倒れるまで