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副業とベーシックインカム

副業が流行っている。いろいろな会社が副業を解禁して政府もその流れを後押ししている。

会社一筋でやっていける時代が終わったということの象徴ともいえる。高度経済成長期には会社都合で副業禁止をうたい政府もそれに乗った。その成功モデルが無理になったら副業を解禁するという、ある意味虫のいい話のようにも感じる。

この副業禁止の慣行もまた、前に投稿した労働意欲が前提の社会と同じく、すごく狭い歴史の一地点の産物だ。右肩上がりの時代の恩恵を社会にいき渡らせるために、国全体が会社におんぶにだっこでたまたまうまく回っていた。国の制度もその恩恵に依存してしまった。保険や年金、組合、そして今回の副業禁止などだ。

でも、もうそんな時代じゃない。たまたまうまくいっていた時代はだいぶ前に終わっていたのに、気付かないふりをしてここまできてしまった。従来の社会や制度を無理やり維持するために、そこから離される人も多くでてしまった。まずは若者が。その次は正社員以外の人たちが。それが今、就職氷河期世代とか派遣切りといった形で問題になっている。

副業が再び同じような方便に使われてしまってはならない。制度が再び反目を生んでしまうことにもなりかねない。

とはいえ僕は、副業が僕らをもっと自由にするきっかけにもなると思っている。会社が中心にある社会では当たり前のように会社が留保していた会社員の時間と自由が、副業によって一部解放されるという側面があるからだ。

僕らは、これまで会社や政府が課してきた様々な制約から解放されて自由な生き方を模索する時期にきている。副業がそれを後押ししてくれるか、はたまた逆にもっと自由を束縛するかの岐路にあるとも思う。

だからこそ、僕らにはベーシックインカムが必要なのだ。時代の要請で会社が手放した一人一人の時間や自由を、僕らが有意義に使えるかどうか。疲弊するだけの副業とは決別して、僕らが自由な生き方に向かって進めるかどうか。

ベーシックインカムという自由の礎を手に入れることが、この岐路を乗り越えるためにどうしても必要なのだ。

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