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アルコール依存のリアル 2


次第に周囲が離れていくことを感じて更なる焦燥感に打ちひしがれる毎日を送っていたある日、
勤め先の社長から直々に呼び出された。


「皆がお前に気を遣いながら仕事をしている。自分の未来は自分しか変えられない。」


社長からのシンプルな一言は、私の心を完全にぶち抜いた。


今変わらなければ、もう後はない。


そう気が付いた私は、その日の内に心療内科へ向かい、ありのままを打ち明け、睡眠障害と診断された。

30錠の入眠剤をもらい、その日から1ヶ月の禁酒生活を始めた。

1日目。さっそく飲みたい衝動に潰されそうになるが、とにかくすぐシャワーを浴び、薬を飲んで布団に入った。

9時間ノンストップで睡眠をとれたが、翌日はそれでも眠気が襲ってきた。

2日目以降も同じように、とにかく酒のことを考えないよう自分の気をそらしながら布団に入った。

10年以上酒を飲まない日がなかった私にとって苦行の極みではあったが、同時に感じたことのない体の軽さと気持ちの余裕を手に入れることができた。

1週間経ち、休日も酒に手を付けずにやり過ごすことができた私は、今までが恐怖に感じられるほど良いパフォーマンスで仕事に臨むことができた。

周囲との溝も少しずつ埋まり、堂々とした態度で日々を過ごせるようになった。

何より、人に優しく接することができるようになった。

なんだかんだで1ヶ月の禁酒を達成した。

楽しみにしていた1ヶ月ぶりの酒は、思っていたほど美味しくなかった。

人間関係でもしばしば聞くが、
「いちど離れてみると、本当に大切かどうかが分かる。」
というのは本当によく言ったものだと思う。

これがリアルなアルコール依存の実態である。

アルコール依存という魔物は、なかなか手強いものである。

しかし、依存しているかもな、控えた方が良いかもな、と感じているうちなら、まだ間に合う。

奈落に落ちる前に一度自分を見つめ直して見ても良いかもしれない。

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