Linux版FileMaker Server 19が開発者プレビュー版として利用できるようになりました
こんにちは、エミックの松尾です。昨日、Claris FileMaker 19が発表、発売されました。プレスリリースでは、今後追加される機能の1つとしてLinux版のClaris FileMaker Serverが用意されることが明記されていました。将来正式に発売されることになれば、Linux版のFileMaker Serverはバージョン5.5で登場して以来の復活となります。今回の記事では、Linux版FileMaker Serverについて徒然と記しています。
(2020年12月11日追記:2020年10月下旬にFileMaker Server for Linuxが正式に登場しました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。)
Linux版も用意されていたファイルメーカー Server 5.5
Linux版のFileMaker Serverはこれまで全く存在していなかったわけではありません。かつて2001年に発売されたファイルメーカー Server 5.5には、Windows版やMac OS X版、Mac OS版以外に、Linux版も用意されていました。また、これとは別に、iモード対応携帯電話向けのサーバーソフトウェアであるファイルメーカー Mobile for i-mode(2002年発売)にもLinux版が用意されていました。
下の表は、ファイルメーカー Server 5.5のデータシートに掲載されていたものであり、当時のLinux版はRed Hat Linux 6.2または7.0が必要なシステム条件となっていました。
FileMaker プラットフォームはバージョン7でデータベースエンジンが刷新されましたが、FileMaker 7 製品ラインが発表されたときにはLinux版のFileMaker Serverに関する計画があると当初案内されていました。Internet WatchにあるFileMaker Pro 7の発売に関する記事には次のような記述が残っています。
サーバー用ソフト「FileMaker Server 7」(135,450円)、XMLやXSLTに対応したWebサーバーアプリケーションソフト「FileMaker Server 7 Advanced」(303,450円)、モバイル端末向け「FileMaker Mobile 7 for Palm OS and Pocket PC」(9,345円)を2004年夏ら順次発売する。なお、Linux版については、「サポートすることは決まっているが、現段階では具体的なスケジュールは未定だ」としている。
ただし、結果的にはその後Linux版のサーバー製品は登場することなく、長い間Linux版の開発計画があるのかどうか不明な状態が続いていました。
CentOS LinuxベースのFileMaker Cloud for AWS
状況が少し変わったのは、現在のFileMaker Cloud for AWS(当時の名称はFileMaker Cloud)が登場した時です。当時のFileMaker Cloudが発表されたのは2016年であり、日本で利用できるようになったのは2017年からでした。
Amazon Web Services(AWS)のクラウド上で動作するFileMaker Cloud 1.15ではLinuxのみサポートされており、FileMaker Cloud 1.15.0で利用するCentOS LinuxのバージョンはCentOS Linux 7.2.1511であると仕様として明記されていました。
FileMaker Cloud 1.15が登場した際に、オンプレミス向け、すなわち自社で運用するサーバー向けにLinux版FileMaker Serverが販売されることはありませんでしたが、技術的にはLinux上で動作するFileMaker プラットフォームのサーバー製品が存在することが世に知られることになりました。
Claris FileMaker Server 19でCentOS Linuxに対応予定
昨日、Claris FileMaker 19が発表された際に、今後追加される機能の1つとしてLinux版のClaris FileMaker Serverが用意されることが明らかになりました。
Claris社のナレッジベースではLinux版の対応OSは「CentOS Linux 7.7」と記載されており、Red Hat Enterprise Linux 7.7に対応するバージョンであるCentOS Linux 7 (1908)がサポート対象となっています。そのため、2020年5月現在におけるCentOS Linuxの最新版はCentOS Linux 8 (1911)ですが、Linux版FileMaker Serverの検証を行う場合には今のところCentOS Linux 8ではなくCentOS Linux 7を利用すると良いと思います。
(2020年6月15日追記:「ナレッジーベース」を「ナレッジベース」に変更・修正しました。)
開発者プレビュー版としてLinux版を利用可能
発売時期については現時点では特に公表されていないようですが、Claris FileMaker 19を利用できる、保守が有効なライセンス契約中のユーザーは、開発者プレビュー版のFileMaker Server for Linuxをすでにダウンロードできるようになっています。
「claris_licensing@」で始まるメールアドレスから届くメールにライセンス情報を含むダウンロードリンクがあり、そのリンクをクリックして表示されるページから開発者プレビュー版をダウンロードすることができます。
開発者プレビュー版については、実際に運用しているデータベースや重要なデータが入っているデータベースでの運用は控えて、あくまでテスト・検証用として使用する必要があります。また、現時点ではClaris社によるサポートはありません。
まとめ
Claris FileMaker 19が発表された際に、Linux版のClaris FileMaker Serverを将来利用できるようになることが明らかになりました。具体的な発売時期は不明ですが、Claris FileMaker 19を利用できる、保守が有効なライセンス契約中のユーザーは、開発者プレビュー版のFileMaker Server for Linuxをダウンロードできるようになっています。プレスリリース内にある「Mac と Windows に加えて、業界標準の OS である Linux でも FileMaker Server をホストすることが可能となり、高い可用性と信頼性が得られます。」という文章が示す通り、サーバー運用の分野ではLinuxは業界標準のOSとして知られています。Linuxではサーバーの構成管理やテスト、自動化に役立つツールや情報などが充実しており、FileMaker Serverの管理者も今後Linuxを使用することが次第に求められるようになっていくでしょう。
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