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ChatGPT・AI時代における法務部門の暗黙知〜ChatGPTの法務分野における利用に関する暗黙知の研究の一環として〜


1. はじめに

1.1 本稿の趣旨

近年、AIやChatGPTの利用が広がり、企業法務の分野においてもこれらの最新のテクノロジーが頻繁に利用されている。これらによる挑戦と機会を探るため、暗黙知について検討することが本稿の目的である。暗黙知とは、形式化や言語化が困難な知識や経験であり、法務部門が効果的に機能するために重要であるとされている。しかし、組織全体で暗黙知を有効活用できていないという課題が指摘されており、これを解決する方法を探求する。

1.2 各章の概要

第2章「暗黙知の内容」では、法的リスクマネジメント、企業文化、コミュニケーション、組織内政治、経営戦略、及び組織内教育の6つの分野において、どのような暗黙知があり、それがなぜ重要なのかを説明する。

第3章「暗黙知の利活用」では、法務部門が各分野の暗黙知をどのように組織として活用するかを検討する。まず、伝統的に暗黙知を形式知化、共有、活用してきた方法を説明し、その後、AI技術の発展を踏まえた、AIを利用した暗黙知の利活用方法について述べる。

第4章「おわりに」では、ChatGPTをはじめとするAIが今後さらに発展することを考慮し、AI技術が法務部門の業務をサポートし、暗黙知を補完・強化することができる方法について解説する。また、AIと暗黙知の協働を成功させるための要素やポイントについて説明する。

本稿では、上記の各章を通じて、企業法務部門がAI技術と暗黙知を組み合わせることで、どのように業務を効果的に遂行できるかを検討する。

2. 暗黙知の内容

2.1 法的リスク管理の暗黙知

法的リスク管理の暗黙知とは、法令やその解釈に関する知識だけでなく、法的リスクを特定、評価、対策し、予防するために必要な経験や直感、洞察力を指す。これらの暗黙知を有することが法務部門にとって重要である理由は、企業が直面する法的問題の解決において、法的リスク管理を適切に行うことが求められるからである。

まず、法的リスク特定において、暗黙知は法務部門が潜在的な法的リスクを迅速かつ効果的に見つけ出す手助けとなる。具体的には、過去の経験や状況を総合的に判断し、問題が発生しやすい箇所を特定する能力が求められる。また、法的リスク評価では、暗黙知を活用することで、リスクの重大性や発生確率を的確に評価し、優先順位を決定することが可能となる。

次に、法的リスクに対する対策では、法務部門が暗黙知を駆使して、最適な対策を立案し実行することが求められる。これには、組織全体の事業戦略や目標と照らし合わせ、リスクを最小限に抑えつつ、業務を円滑に進めるための適切な判断力が必要となる。

最後に、法的リスク予防においては、暗黙知を活用して組織全体の法的リスク意識を高める役割が期待される。具体的には、法的リスクの発生を未然に防ぐための教育や啓発活動を実施し、組織のメンバーが法令遵守意識を持つことを促すことが重要である。

以上から、法務部門における暗黙知は、法的リスク管理を適切に行うために不可欠であることが分かる。単に法令やその解釈に関する知識を持っているだけでは十分ではなく、法的リスク管理のための暗黙知が求められるのである。結論として、法務部門が企業として直面する問題を効果的に解決するためには、法的リスク管理における暗黙知が重要であり、これを有することが職責を遂行する上で必要不可欠であることが確認できる。

2.2 企業文化の暗黙知

企業文化の暗黙知とは、組織内で共有される価値観、慣習、信念や行動様式など、明示的には伝えられていないが実践されている知識のことである。企業文化に関連する暗黙知が法務部門にとって重要な理由は、企業のコンプライアンス遵守体制の強化と、社員のモチベーション向上に関連しているからである。

まず、コンプライアンス意識に関する暗黙知は、法務部門が企業内で法令遵守を促進するために不可欠である。法務部門は、組織内での適切なコンプライアンス意識を築くため、企業文化に根ざした暗黙知を理解し、適切な指導や啓発活動を行う必要がある。このような理解がなければ、法令遵守に関する取り組みが表面的なものに留まり、本質的な問題解決が困難となる。また、組織内のコンプライアンス違反が発生した場合、その原因を適切に把握し、再発防止策を立案するためにも、企業文化の暗黙知が重要である。

次に、社員のモチベーションの理解・向上に関する暗黙知は、法務部門が企業内で効果的な働きかけを行うために重要である。法務部門は、社員が法令遵守や倫理規範を自発的に守るよう働きかける役割があるが、そのためには社員のモチベーションを理解し、それを高める方法を知ることが必要である。企業文化の暗黙知を持つことにより、法務部門は社員の内発的動機づけを引き出し、自主的な法令遵守や倫理的行動を促すことができる。

総じて、企業文化の暗黙知を有することが、法務部門として重要である理由は、コンプライアンス意識の向上と社員のモチベーシーションの理解・向上に関連しているからである。これらの知識を活用することで、法務部門は企業内で法令遵守を促進し、組織全体としてのコンプライアンス体制を強化することができる。また、社員のモチベーションを高めることで、自主的な法令遵守や倫理的行動が期待でき、組織の持続的な発展に寄与するであろう。

2.3 コミュニケーションの暗黙知

コミュニケーションの暗黙知とは、効果的なコミュニケーションを行うために必要とされる、明示的には伝えられない知識や技術のことである。この暗黙知は、相手のニーズの理解、相手の文化やバックグラウンドの理解、及び非言語コミュニケーションなどが含まれる。

法務部門において、コミュニケーションの暗黙知が重要である理由は、まず、相手のニーズの理解が、問題解決や適切なアドバイスを提供するために不可欠であるからだ。法務部門は、他部門や外部の利害関係者と連携し、協力して業務を遂行する必要がある。このため、相手の立場や視点を理解し、適切なコミュニケーションを行うことが重要となる。

次に、相手の文化やバックグラウンドの理解も重要である。これは、企業がグローバル化するにつれ、異なる文化やバックグラウンドを持つ人々と連携する機会が増えるためだ。異文化間の認識の違いや価値観の相違を理解し、それを考慮したコミュニケーションが求められる。

最後に、非言語コミュニケーションも重要である。これは、コミュニケーションの大部分が非言語的であり、意図や感情が言葉だけでは伝わらないことがあるからだ。非言語コミュニケーションを適切に理解し、活用することで、効果的なコミュニケーションが実現される。

これらの理由から、法務部門においては、コミュニケーションの暗黙知を有することが重要であるといえる。これにより、企業内外の利害関係者と円滑なコミュニケーションを図り、法務部門の業務遂行を効率的かつ効果的に行うことが可能となる。

2.4 組織内政治の暗黙知

組織内政治の暗黙知とは、組織内での権力構造や人間関係、意思決定プロセスに関する、明示的には伝えられない知識や技術のことである。これには、組織内の権力構造の理解、組織内の人脈や人間関係の理解、及び組織内での意思決定のプロセスの理解が含まれる。

法務部門において、組織内政治の暗黙知が重要である理由は、まず、組織内の権力構造を理解することが、適切な意思決定や資源の配分に影響を与えるからである。法務部門は、企業内の様々な部署や利害関係者と連携し、業務を遂行する必要がある。このため、権力構造を把握し、適切な提案や対応ができることが求められる。

次に、組織内の人脈や人間関係の理解も重要である。これは、人間関係が円滑であることが、情報の共有や協力関係の構築に役立つからだ。法務部門が他部門と効果的に連携するためには、組織内の人間関係を理解し、適切に対応することが必要である。

最後に、組織内での意思決定のプロセスの理解が重要である。これは、意思決定プロセスを把握することで、法務部門が企業全体の意思決定に寄与し、企業のリスク管理やコンプライアンスをサポートできるからだ。適切な意思決定のプロセスを理解し、参画することで、法務部門は企業全体の利益に貢献できる。

これらの理由から、法務部門においては、組織内政治の暗黙知を有することが重要であるといえる。これにより、組織内の連携や意思決定に適切に関与し、法務部門の業務遂行を効率的かつ効果的に行うこうことが可能となる。組織内政治の暗黙知を持つ法務部門は、企業全体のリスク管理やコンプライアンスをサポートし、企業の発展に貢献することが期待される。

2.5 経営戦略の暗黙知

経営戦略の暗黙知とは、企業の長期的な目標達成や競争優位性を維持・強化するための戦略やビジョンに関連する、形式化されていない知識や理解である。この知識は、経験や観察を通じて獲得され、意識的には捉えにくいものである。

経営戦略の暗黙知を持つ法務部門は、自社のビジネスモデルを理解し、適切な法的助言を提供できる。企業が直面する法的課題やリスクは、ビジネスモデルや市場状況に大きく影響されるため、これらの要素を把握することが求められる。

さらに、業界のトレンドや競争相手を理解することも重要である。これにより、法務部門は、競合他社が取り組む戦略や新たな規制への対応について、自社の経営陣に対して適切な助言を行うことができる。また、業界全体の法規制や業界団体の動向を把握することで、迅速かつ効果的な対応が可能となる。

経営戦略の暗黙知を持つ法務部門は、企業の経営陣と連携し、企業全体の成長戦略や目標達成に向けて支援することができる。その結果、法務部門は企業の価値創造に貢献し、組織全体の発展に寄与することが期待される。

2.6 組織内教育の暗黙知

組織内教育の暗黙知とは、従業員の能力開発や教育を効果的に行うために必要な、形式化されていない知識やスキルのことである。これは教育者が経験や実践を通じて獲得し、意識的には捉えにくいものである。

まず、社員の教育ニーズを理解することが重要である。法務部門が持つ暗黙知を有効に活用するためには、社員がどのような知識やスキルを必要としているかを把握し、適切な教育プログラムを提供することが求められる。これにより、社員のコンプライアンス意識や法的リスク管理能力を向上させることができる。

次に、教育プログラムの開発・実施に関する暗黙知も重要である。教育プログラムは、従業員が実際の業務で直面する問題に対応できるよう、現実的で実践的なものでなければならない。法務部門は、自らの経験や知識を活用して、効果的な教育プログラムを開発・実施することが求められる。

最後に、教育効果の測定が重要である。法務部門は、教育プログラムが従業員の知識やスキルを向上させているかどうかを評価し、必要に応じてプログラムを改善することが求められる。これにより、組織全体のコンプライアンス意識や法的リスク管理能力が向上することが期待される。

組織内教育の暗黙知を持つ法務部門は、従業員の法的リスクへの対応力を高め、企業全体の法的問題の発生を防ぐ役割を果たすことができる。その結果、法務部門は企業の成長や目標達成に寄与し、企業の持続的な発展に貢献することが期待される。

3. 暗黙知の利活用

3.1 伝統的な暗黙知の形式知化、共有及び利活用

法務部門は、伝統的に様々な方法を用いて暗黙知を形式知化し、共有及び利活用してきた。これらの方法は、企業の法的リスク管理やコンプライアンス体制の強化に寄与し、組織全体の成長に貢献してきた。

まず、法務部門はメンタリング制度を通じて、暗黙知の形式知化と共有を行ってきた。経験豊富な法務担当者が新入社員や若手社員に対して、業務上の知識やスキルを伝授することで、暗黙知が形式知化され、後進に継承される。このようなメンタリング制度は、法務部門の専門性を維持し、法的リスク管理能力を向上させる上で重要である。

次に、定期的な研修や勉強会を開催することで、暗黙知の共有を促進してきた。これにより、法務部門内で得られた経験や知識が他のメンバーと共有され、組織全体の知識レベルが向上する。また、外部講師や他部門の担当者を招いて行う研修や勉強会は、他部門との連携や異なる視点からの学びを促進し、法務部門の柔軟性や適応力を高める効果がある。

さらに、マニュアルやチェックリストの作成を通じて、暗黙知を形式知化し、利活用してきた。法務部門が作成するマニュアルやチェックリストには、実務で得られた知識や経験が反映され、他の部門や新たに法務業務を担当する者にも容易に理解できる形で提供される。これにより、企業全体の法的リスク管理やコンプライアンス意識の向上が期待される。

最後に、社内ネットワークやデータベースを活用して、暗黙知の共有や利活用を図ってきた。これにより、法務部門が過去に対応した案件や取り組み、獲得した知見がデジタル化され、他の部門や新しいメンバーにも容易にアクセスできるようになる。また、検索機能を活用することで、必要な情報を迅速に取得し、業務効率の向上が図られる。このようなデジタル化による暗黙知の共有や利活用は、法務部門が持続的な成長を遂げるために欠かせない要素である。

本稿3.1で述べたように、法務部門は伝統的に暗黙知の形式知化、共有及び利活用を進めてきた。これらの取り組みは、法務部門の専門性や法的リスク管理能力を維持・向上させ、企業全体の法的リスクやコンプライアンス体制を強化するために重要である。

3.2 AIを利用した暗黙知のより良い利活用

本稿3.2では、AI技術の発展に伴い、法務部門の暗黙知のより良い利活用方法について説明する。まず暗黙知のデータ化から始め、AI技術の選定、導入・トレーニング、暗黙知とAI技術の連携、そして継続的な評価・改善について具体的に検討する。

  1. 暗黙知のデータ化: 法務部門の暗黙知をデータ化するためには、個々の法務担当者が持つ経験や知識を文章化し、データベースに登録することが求められる。これには、過去の案件解決におけるノウハウや判断基準、業界固有の法的リスクに関する情報などが含まれる。また、データ化された暗黙知を整理・分類し、適切なタグ付けやキーワード設定が重要である。

  2. AI技術の選定: 暗黙知の利活用に適したAI技術を選定する際には、法務部門の業務内容やニーズに適合するものであることが重要である。例えば、契約書の自動作成や文書管理には自然言語処理(NLP)技術を用いたAIが有効であり、訴訟リスクの予測には機械学習アルゴリズムが適している。

  3. AI技術の導入・トレーニング: 選定したAI技術を導入する際には、法務部門のメンバーに対する研修やトレーニングが必要である。これにより、担当者がAI技術の機能や限界を理解し、適切な業務遂行が可能となる。また、AI技術自体も、法務部門の暗黙知データを用いてトレーニングし、精度向上を図ることが望ましい。

  4. 暗黙知とAI技術の連携: 法務部門の暗黙知とAI技術を効果的に連携させるためには、両者が相互補完的な関係を築くことが重要である。例えば、AIが法的リスクの評価を行う際には、担当者の暗黙知を参考にして最適な判断を下すことができる。また、AI技術が未だ対応できない複雑なケースや新たな課題に遭遇した際には、法務部門のメンバーがその経験や知識を活用して解決策を提案する。このように、暗黙知とAI技術が協力し合うことで、より効率的かつ効果的な業務遂行が可能となる。

  5. 継続的な評価・改善: AI技術の導入後も、継続的にそのパフォーマンスを評価し、改善に努めることが重要である。評価の方法としては、導入前と導入後の業務効率や精度の比較、法務部門のメンバーからのフィードバック収集、定期的なレビュー会議などが考えられる。また、評価結果をもとに、必要に応じてAI技術のアップデートや再トレーニングを行い、その適用範囲を拡大・最適化することで、法務部門の暗黙知の利活用が一層向上する。

以上の手法を通じて、AI技術を活用した法務部門の暗黙知のより良い利活用が実現される。これにより、法務部門は業務効率の向上、リスク管理の最適化、そして組織全体の競争力強化に貢献することができる。

4. おわりに

本稿の結論として、企業法務における暗黙知は重要な役割を果たし、法務部門で働く人々の価値はAIが持たない知識やスキルによって高められることが明らかとなった。ChatGPTを含むAIの利用は、暗黙知のより良い利活用につながる可能性がある。AI技術は大量のデータからパターンを抽出し、明示的な知識を学習・適用することが得意であるが、人間の直感や感性に基づく暗黙知を完全に理解・活用することは容易ではない。

しかしながら、AI技術の進化により、従来よりも暗黙知に近づくことができる可能性がある。AIと人間が協働することで、お互いの強みを活かし、法務部門の業務効率や効果を最大限に引き出すことが期待される。法務部門は、AIの導入を検討する際に、従来の方法とは異なるアプローチで暗黙知を活用し、より高いパフォーマンスを達成することができる。

今後のChatGPTを含むAI技術の進歩に注視することは、企業法務の発展において重要である。暗黙知を活用することで、法務部門が持つ付加価値を向上させ、企業全体の競争力を強化することが可能となる。これからも、AI技術と暗黙知の関係性を研究し続けることが、法務部門にとって有益な選択であると筆者は考える。本稿が、そのような取り組みに対する理解と関心を深める一助となれば幸いである。

5. ChatGPTの法務分野における利用に関する暗黙知の研究を続けていきます!

以上の約7000字の論考は、


ChatGPTの吐き出したものをコピペしたもの


である。論考作成においては主に、アイディア出し、アイディアの整理・編集、実際の執筆という3つの作業があるところ、ChatGPTにアイディア出しと実際の執筆を任せた(人間である筆者はアイディアの整理・編集を行った)。
筆者(松尾剛行)は、ChatGPTの弁護士業務、とりわけ企業法務関係での活用を検討しており、「ChatGPT等のAI技術の発展と弁護士実務への影響」https://note.com/matsuo1984/n/n006e3e569eb0

というnoteは幸いにも好評を博した。
そして、具体的にどのようにChatGPTが利用できるかを実験・検証する、という観点から、現時点でも相当ChatGPTが得意と理解される「フワッとした抽象的なテーマ」として、「企業法務の暗黙知」を選び、以下のプロンプトエンジニアリングテクニックを利用した。

①「キャラ付け」及び「内容に関する指示」を行う
②ChatGPTの複数バージョンを利用して複数の案を提示させる
③批判的検討と応答をさせる

即ち、まず最初に、①「キャラ付け」として、「上場企業で長く法務部門責任者を務めてきた著者が、『企業の法務部門における暗黙知』というタイトルで本を書きます。10章ありますので、各章のタイトルと各章の概要を教えてください。」とキャラ付けをしてアイディア出しをさせた。
その際は、②ChatGPTの複数バージョンを利用して複数の案を提示させる、つまり、GPT3.5と4.0にそれぞれ同じプロンプト(呪文)で回答をさせたところ、前者は「法律知識、企業文化、 コミュニケーション、組織内政治、経営戦略、外部法律事務所、法的リスクマネジメント及び組織内教育」で整理をし、後者は「法務部門の役割と機能、法務部門の組織構造と人材、コンプライアンスとリスクマネジメント、契約書の作成と管理、知的財産権の保護と活用、労働法と従業員関係、法務部門と内外のコミュニケーション、紛争解決とリーガルストラテジー及び法務部門の業務改善と効率化」で整理をした。
このいずれの整理が正しい(バージョンが上がることで精度が上がっている)という話か、複数のあり得る整理の可能性に過ぎないのかを理解するため、③批判的検討と応答をさせた。即ち、いずれか一方の提案が優れているということかを聞いた。そうすると、目的に適合するか否かで自由に選べば良いという回答であった。
これを踏まえ、叩き台として、「法律知識、企業文化、 コミュニケーション、組織内政治、経営戦略、外部法律事務所、法的リスクマネジメント及び組織内教育」のフレームワークで各章を執筆させた。
その上で、③批判的検討と応答として、批判的な書評を書かせたところ、「AI技術の現状や限界をより明確に示し、企業法務がどのようにAI技術を適切に取り入れるべきかについて具体的な提案をすることが望ましい」という批判が出された。
よって、③批判的検討と応答として、当該批判を踏まえてどのように書籍を改訂すべきか聞いたところ、具体的なAIを利用した暗黙知のより良い利活用に関する提案(現在の3.2とほぼ同じもの)を提示してきた。
加えて、AIと暗黙知の関係について、②ChatGPTの複数バージョンを利用して複数の案を提示させたところ、GPT3.5は「AIと法務部門の共存により、AIが持つスキルを活用することで、法務部門の業務をより効率化することができます。しかし、AIが持たない暗黙知を持っていることが、法務部門で働く人々の価値を高めることに繋がります。法務部門で働く人々は、AIが持たない知識やスキルを持っており、AIと共存することで、より高度な法的問題に対応することができます。」として、AIが暗黙知を持たないという議論をしているのに対し、GPT4.0はAIにより暗黙知を分析・学習するという議論をしてきた。
そこで、③批判的検討と応答として、この2つのいずれが正しいかを問うたところ、AI技術は大量のデータからパターンを抽出し、明示的な知識を学習・適用することが得意であるが、人間の直感や感性に基づく暗黙知を完全に理解・活用することは容易ではないという限界はあるが、AI技術の進化により、従来よりも暗黙知に近づくことができる可能性があるという現在の「4.おわりに」で述べたような内容を提示した。
以上を踏まえ、筆者において現在の構成へと再構成・編集をした上で、①「内容に関する指示」として「自分のことは筆者と呼んでください。1章は1、1章1節は1.1等とします。その原稿についてリファーする際は本稿といいます。だ・である体で書くが、だは極力使わないでください。」という指示をして、各章を執筆させた。


これはいわゆるプロンプト・エンジニアリングのテクニックであるが、本稿を通じ、ChatGPTの得意分野(テーマ、作業内容)に限定し、できるだけChatGPTがその実力を発揮できるようなプロンプトとするというChatGPTの法務分野における利活用に関する暗黙知を一定以上明確にし、共有することができれば幸いである


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